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「卓球をやめなくて良かった」。五輪代表候補として急浮上した篠塚大登の本音とは?

「張本を倒さないと一番にはなれないので、
そういった意味ではずっと一緒に
成長していける、目指せる選手です」

世界選手権で中国から2点奪い、日本のエースである張本智和(IMG)。同期の篠塚大登(愛知工業大)にとって、小学生時代から「怪物」と言われていた張本は大きな壁だった。「2年生、4年生、6年生で張本には負けているし、1ゲームも取れなかった。自分よりは全然上だと思っていた」(卓球王国3月号より)と小学生時代を振り返る篠塚。
2022年WTTフィーダー・フリーモント(アメリカ)、22年WTTコンテンダー・ノバゴリツァ(スロベニア)で優勝。Tリーグでも活躍し、確実に力をつけている。特にWTTコンテンダーでは世界ランキング9位で、東京五輪で張本を破ったヨルジッチ(スロベニア)に勝って優勝を飾り、世界に「SHINOZUKA」の名前を知らしめた。
国内でも、昨年のパリ五輪代表選考会でも上位に進み、「全然上だった」張本にも迫る勢いを見せている篠塚。この1年間の急成長の理由に、Tリーグでの経験とフィジカル面での強化をあげている。そしてWTTでの試合や選考会を通して「自信」を獲得した。

19歳ながらアスリートとしての風格が出てきた篠塚大登(愛知工業大)

19歳ながらアスリートとしての風格が出てきた篠塚大登(愛知工業大)  <photo 花田龍之介>

 

小学生、中学生時代から相手に打たれた時の守りには定評があった。かつて岸川聖也、水谷隼を指導したマリオ・アミズィッチが才能を持つ世界的な選手、ワルドナー(元五輪金メダリスト)、サムソノフ(元世界2位)、そして水谷を評する時に「ブロッキングゲーム(守備技術)をできる選手たち」と表現していた。
相手の攻撃を予測する能力に長けているという意味だが、篠塚も小さい頃からブロッキングゲームのできる選手だった。それに加え、最近はフィジカルの向上によって攻撃力が大幅にアップしたことで、世界でも勝てる選手に成長したのだろう。

世界ランキングを28位まで上げ、日本選手としては張本、宇田幸矢に続き3番手、五輪代表の選考ポイントでは2番手につけている。
小学、中学時代に卓球をやめたいと思ったことがあり、卓球という競技に背中を向けそうになった篠塚は、今、「卓球が楽しい」と言うようになった。そして同期の張本の存在を問えば、「日本にあれだけの選手がいるので、彼を倒さないと一番にはなれないので、そういった意味ではずっと一緒に成長していける、目指せる選手です」と語った。
もうすぐ始まる全日本選手権大会では、スーパーシード(4回戦)の壁を超えたことがないうという篠塚。この1年間の彼の成長と、強さの真価を問う大会になるのとは間違いない。
撮影、インタビューをしていても大物感を漂わせ、独特の雰囲気を放つ19歳。2023年はこの選手から目が離せない。
(卓球王国3月号「篠塚大登インタビュー」・1月20日発売号より)

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しのづか・ひろと
2003年12月23日生まれ、愛知県東海市出身。少年時代は名古屋の卓伸クラブで指導を受け、その後、愛工大名電中、名電高、愛知工業大へ入学。全日本カブ準優勝、全日本ホープス3位入賞、全日本カデット14歳以下の部で優勝、2019年インターハイのシングルス準優勝。2022年WTTフィーダー・フリーモント(アメリカ)優勝、同年WTTコンテンダー・ノバゴリツァ(スロベニア)優勝。Tリーグでは木下マイスター東京に所属。世界ランキング28位(1月現在)。パリ五輪シングルス選考ポイントでは2023年1月現在2位

 

100年にひとりの天才と言われたワルドナー(スウェーデン)

 

相手の攻撃を吸収した後の攻撃が得意だったサムソノフ(ベラルーシ)

 

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初の表紙を飾り、独占インタビューで登場した篠塚大登

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