大阪・関西卓球アカデミー
1月の全日本選手権では3種目に出場し、14試合を戦った。混合ダブルスでは3位入賞し、これが小学校で卓球を始めた坂根翔大にとって初の全国大会の表彰台だった。さらにシングルスではノーシードながらランク(ベスト16)入を果たしている。
兵庫県で卓球を始め、全日本ホカバに出場したのは一度だけ、全中(全国中学校大会)には一度も出たことはない。育英高2年の時、全日本ジュニアでベスト8に入るまで、全国的には全くの無名選手だった。「カットマンが大好き」「ラリー戦も得意で、自信がある」という24歳の坂根はなぜこれほどの活躍を見せているのだろう。「坂根翔大はなぜ強くなったのか」を探ってみた。
インタビュー=今野昇
●−卓球を始めたのは?
坂根 小学校入ってから遊び感覚でやってました。自宅が一軒家に引っ越す際に卓球場を併設したので自宅で父から指導してもらいました。小学6年で全日本ホカバに初めて出たけど、予選リーグで負けてます。全中も出たことないし、全日本カデットもダブルスだけの出場です。育英高2年で全日本ジュニアでいきなりベスト8に入って、そこで人生が変わりましたね。中学時代は今のような生活は想像できなかった。
でも、ジュニアベスト8はたまたまではなく、土台作りに時間がかかったからです。中学までは父に教わっていて、他の人と教え方が違っていて、勝たなくてもいいから、人より1球でも多く入れればいいと言われていた。
中学時代はフットワークも多球練習もやったことがない。父も卓球選手だったけど、強い選手ではなくてコーチングが特殊だった。中学時代は応用練習が多かったので、高校で基礎をやってから、中学時代の応用力が掛け合わさった感じですね。
●−坂根くんのラリーが好きとか、得意というのは……。
坂根 絶対、その中学時代の練習にあります。ラリーに持ち込んだらあまり負ける気はしない。高校に入ったタイミングもよくて、育英高に入ったタイミングで田中雄仁さん(元東京アート)も育英に入ってきた。
兵庫県は育英、滝二、滝川、報徳の4校があったんですが、進学校、型にはめる学校、軍隊のような厳しい学校はぼくにはダメで、育英だけが伸び伸びとやらせてもらえそうだった。ジュニアでベスト8に入った時もちょうどプラスチックボールになった時でみんながスタートラインが一緒になったと思いました。ジュニアのランク決定もインフルエンザ明けの龍崎が相手でラッキーだったし、今回もカットマンゾーンで、運に恵まれていた。
高2でジュニア8に入った翌年2015に、神戸でジャパンオープンが開催されて地元枠として出場させてもらえた。そこでもチャンスを与えてもらったうえになんとか予選で2回も勝って予選突破できた。それでベスト16になって世界ランクもいただいて、さらにその後に世界ランクがあったために世界ジュニアの選考会に出場できる権利ももらい、ジュニアのトップ選手たちと対戦できる機会というのが急激に増えてそこでもすごい良い経験になりました
その後、関西大に進んでも、ぼくはひとりで考えるのが好きで、練習量で強くなった選手じゃない。考えない選手もいるけど、ぼくはもともとひとりでやっていたので、考えるのも好きだった。
●−今回の全日本の活躍は素晴らしかったけど、大会前の調整は?
坂根 去年、ポーランドリーグに参戦することができて、卓球もそうですけど、生活面とか、ひとりで行ったことで勉強になったし、メンタル的にも力がついたと思うし、その実力を試すのが全日本だったので、結果につながってうれしかったですね。
●−ポーランドリーグは誰の紹介だったんだろう?
坂根 (関西卓球アカデミーの)王子さんの紹介で、ポーランドのチームにいる中国人に紹介してもらいました。海外での経験値を積みたいので、去年の1月から4月にかけて海外リーグを探していたら、声がかかって、契約は6月くらいにしていて、9月の初戦に出させてもらって、2試合をやり、日本に戻って、12月の中旬に2試合やりました。向こうでは1試合に2回出るので、全部で8試合で7勝1敗です。
●−海外でのプロリーグは初めてだよね。
坂根 そうです。ポーランドでは応援してくれる人もたくさんいて、ぼくはそういう雰囲気で頑張れるタイプなので、パフォーマンスとして卓球スタイルで表現したかった。Tリーグは目標にしているリーグだけど、ポーランドもすごく楽しいし、1球ごとに相当盛り上がっていました。
●−ホーム&アウェイだよね?
坂根 そうです。(アウェイでは)車で7時間くらいかけて行ってました。相当きつかったですね。
●−ポーランドに行くと決まってからは相当やり込んだのかな?
坂根 行くからといって、特別やり込むことはなく、練習できる時にやっていたので、普段どおりでした。
●−そもそも坂根くんは普段どういう生活をしているんだろう?
坂根 小学生、中学生を中心に関西アカデミーで子どもたちを教えているし、(伊藤)美誠ちゃんが日本にいる時には美誠ちゃんの練習相手もやっています。大学生の時から練習相手をやっていて、今までもお世話になっているし、感謝の気持もあります。世界のトップ選手の相手をするのは自分のレベルアップにもつながっています。卓球に専念できる社会人になってから、3年目になって、力がついてきて結果がついてきた。自分の練習は1日3時間、週5,6日ほどです。プラスアルファで仕事&練習相手があるので一日ラケットは持てています。
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