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水谷隼「勝ったらヒーロー、 負ければ何を言われても文句は言えない。 そういう世界ですから」

 

●─北京からロンドンまでの4年間はどんな時間の長さなんだろう。

水谷 何とも言えないですね。ただひとつ言えるのは、北京から帰ってきた日、岸川(聖也)君の家にいてテレビをつけたら、フェンシングの太田(雄貴)選手が映っていたのを覚えている。悔しさですよね。ぼくもあと一歩でこうやってテレビに出ていたかもしれないのに。それを鮮明に覚えているのは、この気持ちを一生忘れないと思ったからですね。

 

●─そうなると余計にメダルを獲ることでしか気持ちが収まらない。

水谷 もちろんそうです。メダルという結果は絶対必要なんですね。メダル獲得か、獲得できないか、それしかない。そこに自分の気持ちを持って行きたい。メダルを獲れれば成功で、獲れなければ失敗です。

 

●─前回の北京で、あと一歩でメダルを逃した経験を生かす時が来た。

水谷 勝つことがすべてなんです。勝った者が正しい。全日本で負けて考え方が変わりました。勝った者がすべてです。たとえ、その人が何も練習してなくても、勝ってしまえばすべて肯定される。逆にいくら練習しても、勝たないとそこを誰も見てくれない。評価してくれない。

今まで全日本で5連覇してきたけど、今回の全日本はその何倍も練習してきたし、オール4︱0を目指して一生懸命やってきて準備をしていたのに、最後に逆転負けをしたことで考え方が変わりました。

 

●─ロンドンも勝つことがすべてだね。

水谷 そうですね。スポーツはそういう世界だと思う。勝った者が正しい。メダル獲れなかったけど、頑張りました、というのは自己満足じゃないですか。勝ったらヒーロー、負ければ何を言われても文句は言えない。そういう世界ですから。

このインタビュー直後のジャパンオープンでは素晴らしいプレーで優勝を飾り、世界ランキングでもボルを抜くと言われる水谷。心技体が充実し、確かな手応えを感じたはずだ。

北京五輪の時には世界ランキング21位だったが、この4年間で7位まで上げた。それが彼自身の4年間の成長の証だろう。孤高のエースは、自分を支えている人、そしてファンのためにロンドンで戦う。「メダルが獲得できなかったら失敗」と言い切る水谷隼にとって、ロンドンが特別の地になることは間違いない。                                 (文中敬称略)

 

 

水谷隼●みずたに・じゅん

1989年6月9日生まれ、静岡県出身。スヴェンソン所属(2012年当時)。07年インターハイ優勝、全日本選手権では、03・05・06年ジュニア優勝、06~10年5連覇、06~09年複4連覇。09年世界選手権複3位、11年世界選手権ベスト8。世界ランキング7位(12年6月現在)。ロンドン五輪は2回目の出場

 

 

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