Tリーグ監督を退任後、大阪に自身の卓球場『邱卓球塾』を開設し、男女、国内、国外を問わずトップ選手の指導を行っている邱建新。今大会はA.ディアス(プエルトリコ)のプライベートコーチとして帯同し、ベスト16入りさせるなど手腕を発揮。
「ディアスは昨年末から私の卓球場に来てずっと練習しています。今大会では鄭怡静(タイペイ)に勝ち、王曼昱(中国)からもゲームを奪うなど強くなってきています。まだ発展途上中の選手で、さらに上に行くためにはやらなければいけないことはたくさんありますが、可能性を秘めている選手です」(邱建新)
その邱建新の息子であるチウ・ダン(ドイツ)は今大会で準々決勝に進出。馬龍(中国)の完璧なプレーの前に敗れたが、ここ最近の安定した強さはオフチャロフやボル(ともにドイツ)を上回っていると言っても過言ではない。
馬龍戦が行われた昨日(17日)、午後からの試合に合わせてホテルから会場に向かおうとロビーに向かうと、邱建新がやってきた。「準々決勝の前に少しだけダンにサービスを教えに行きます。ダンはサービスが良くなっているけれど、もっと良くならなければいけない。同じようなモーションから違う回転のサービスを覚えなければいけない」と会場に向かう車内で話してくれた。
邱建新は水谷隼のプライベートコーチを務め、その後はTリーグの監督、石川佳純のプライベートコーチなどドイツを離れて日本に滞在していた。一方、チウ・ダンはドイツに残り、ブンデスリーガで腕を磨いた。コロナ禍により互いが行き来できない中、邱建新は息子の練習メニューや技術改善をスマートフォンを活用して毎日行っていた。遠く離れていても、親子であり、師弟でもあるふたりの関係は途絶えることはない。
「ダンは裏面のバックハンドやカウンター、ブロックはすでにかなり高いレベルに到達していますが、サービスやフォアハンドの一発で打ち抜く技術など、さらに高めていかなければいけない技術がある。そういう意味では伸びしろがあるので、もっと強くなれる可能性があります」(邱建新)。
海を越えた親子鷹。邱建新は馬龍戦の直後に帰国したが、敗戦についてもアドバイスのメールを送っているに違いない。
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