それは、1月の全日本選手権で優勝を飾った戸上隼輔との何気ない言葉のやり取りがきっかけだった。
全日本優勝直後に行われた卓球王国の「チャンピオンインタビュー」。取材後に、食事をしながら、なぜか自然にプロレスの話になる。熱くプロレスを語る戸上に「棚橋さんと対談とかできるかな」と振ると、戸上の目が急にキラキラしたようだった。「ええ〜、できますかね」とつぶやく戸上は、全日本チャンピオンではなく単なるプロレスファンの少年のようだった。
それから新日本プロレス側に打診すると、新日さんも棚橋さんも快諾。晴れて対談の運びとなった。
事前にマネジメント会社を通して、「戸上くんが棚橋さんに聞いてみたいこと」をメールすると、返事が戻ってきた。しかし、それはアスリートとしての質問というよりも、「プロレス大ファンの質問」がたくさん来たことに思わず苦笑。
まずは卓球ファンが読む卓球王国なので、「最後に戸上君が直接聞くことは彼に任せて、まずは王国で進めよう」となった。
そして対談が実現し、喜びの戸上。そして、「最後にヘッドロックを決めておこうか」という棚橋さんからのサプライズ。のちに「あのヘッドロックどうだった?」と戸上に聞くと、「いやー、強烈できつかった」と言いながらも、本当に嬉しそうだった。
さあ、棚橋さんに「気」をもらった戸上の世界選手権が楽しみだ。第2シード、王楚欽(中国)との対戦するが、ダーバンのマット上(いやコート上だった)で相手を倒していく様を見たい!
ダーバンで最新号を手にして、記者から「明日へのヘッドロック」について聞かれ、撮影でヘッドロックされた瞬間について「棚橋さんは腕がめっちゃ太いので、一瞬で決まってしまってめっちゃ苦しかったです(笑)」と戸上。
また日本での公開練習では「プロレス好きのキャラクターが定着してきたことはどう思う?」と問われ、以下のように語っている。
「率直にうれしいですね。まさか、自分の趣味で楽しんでいるところをイメージしてもってもらえるとは。本当にうれしいです。こうやって取材の時でもプロレスの話ができるというのは本当に幸せですね。
一番好きなのは棚橋選手です。小学校の頃からずっと見てきて、ファンの方々を大事にしていますし、ずっとエースとしてやってきたその背中が小学生の自分には大きかった。それが自分の目指す人物像なのかなと。どんな逆境でも向かっていくエースの心というのに、本当に小学生の自分はすごいなと思いました。基本的に小学生だったので、深夜のプロレス番組の録画を見ていて、棚橋選手の試合が多かったんです。それがきっかけです。
ストロングスタイルというのは卓球に通じるところもある。攻撃こそ最大の防御、というのがしっくりきますね。ぼくもそういうストロングスタイルでありたいなと思っています」
明日の王楚欽戦でもストロングスタイルを見せてほしい!
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