●男子シングルス1回戦
張本智和(智和企画) 7、6、−9、10 梁靖崑(中国)
張本智和、男子シングルス1回戦で梁靖崑を破り、準々決勝進出!
妹・美和に続いて初戦を突破!!
中国選手の中でもバックハンドが強く、バック対バックに絶対の自信を持つ梁靖崑は、同じくバックが強い張本にとって超えるべき壁。23年世界卓球個人戦でも準々決勝で激戦の末に敗れた、因縁の相手だった。この試合も1ゲーム目のラブオールから、フォアを台上バックドライブで打ち抜かれ、あっという間に0−5。「やはり天敵なのか」と、行く末に暗雲が立ち込める。
しかし、「出足は0−5になって、ちょっと緊張感はあったんですけど、1点目を取った時に会場から大きな声援をいただいてすぐ追いつくことができた。1点目の感覚が逆転につないでくれました」と試合後に語った張本。4−7までジリジリ追い上げると、そこから一気呵成(かせい)の7点連取で逆転。2ゲーム目も4−5から9−5まで5点連取で突き放し、2ゲームを先取する。
「梁選手はバックが強いので、バック対バックではなかなか打ち抜けない。フォアで結構回り込むことができて、よりパワーのあるフォアハンドで狙い打てたのが良かったと思います」(張本)。バック対バックから積極的に回り込み、梁靖崑のミドルをうまく攻めた張本の攻めは素晴らしかった。それは「勇気」と言っていいだろう。
その勇気の源は、久々に戦う地元でのファンからの声援かもしれない。張本とこの北九州市立総合体育館といえば、どうしても2018年ジャパンオープンでの優勝を思い出す。当時とはプレーのレベルも環境もまるで違うが、「やっぱり縁起の良い会場だと思う?」とミックスゾーンで尋ねてみると、「今回はそれにすがる思いです」と少し苦笑いをしながら答えてくれた。
「もちろん自分の力で優勝を勝ち取りたいですけど、優勝する時は実力だけで優勝するわけではない。ホームのアドバンテージというのはやはりあるとフランス(モンペリエ)でも感じましたし、頼るところは頼る、祈るところは祈りながら、力を借りて今回頑張れればいいのかなと思います」(張本)
3ゲーム目は7−5、8−6のリードから決めきれず、1ゲームを落とし、4ゲーム目は6−1のリードから7−7に追いつかれた。「勝つのは簡単じゃなかったですね。リードされている時の粘りが梁選手の強みで、2−3で逆転負けしていてもおかしくなかった。良かった1・2ゲーム目は収穫として、3・4ゲーム目にあそこまで競ってしまった要因を考え直さないといけない」。油断なくそう語る張本の表情は、ひと回りたくましく見えた。
明日はシングルスはなく、松島輝空とのダブルスで準々決勝に登場。そしてシングルスは明後日の準々決勝で、カルデラノ(ブラジル)対張禹珍(韓国)戦の勝者と対戦する。日本の卓球ファンの声援を追い風に、頂点へと駆け上がれ!!
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