●3月22日の名言
3月29日に発売される、丸ごと1冊「水谷隼のサービス」を特集した卓球王国5月号別冊『水谷隼の大サービス』。その冒頭に掲げられたメッセージだ。
「サービスは芸術だ」。少々大げさな気もするが、確かにサービスほど個性が出るプレーは他にない。高校や中学の卓球部には、どのチームにもひとりくらいチームの選手やトップ選手の真似をする「モノマネ名人」がいるものだが、たいてい真似をするのはサービスだ。
トップ選手を例に挙げれば、劉国梁(中国)や金擇洙(韓国)のフォアサービス、プリモラッツ(クロアチア)やオフチャロフ(ドイツ)のバックサービス……すぐに頭の中でリプレイできる。最近では伊藤美誠(スターツ)の舞うが如き「巻き込みサービス」が話題になった。
サービスに個性が出るのは、「相手の打球に左右されない唯一のプレー」だからだ。ドライブやブロックは相手の打球ありきで、より合理的なスイングが追求され、どの選手も似たようなスイングになるが、サービスは違う。ルールの範囲なら、トスの高さもスイングも、フォロースルーもすべて自由だ。
だから水谷隼は語りかける、「サービスは教えられる技術ではない」のだと。周りの選手を真似することから始めて、少しずつ自己流にアレンジして、最後は自分だけの作品に仕上げていく。
卓球に「芸術」という言葉を持ち込んだのは、「卓球は時間と空間の芸術だ」と語った故・荻村伊智朗氏(元国際卓球連盟会長)以来かもしれない。冒頭から強烈なメッセージ。これから発売までのカウントダウンを、稀代の卓球王が別冊で残した、数々の名言とともに駆け抜けてみたい。
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