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「壁となる存在でありたい」。平野美宇が会見、全日本への抱負を語る

 12月25日、東京・新宿の木下グループ本社で、平野美宇(木下グループ)が全日本選手権への意気込みを語る記者会見を行った。

 会見の冒頭で2023年を振り返り、「自分の卓球人生でも上位に入るくらいの成績が残せた1年でした。自分のプレーもできることの幅が広がった」と充実感をにじませた平野。パリオリンピックに向けた最後の選考対象大会となる2024年全日本選手権。シングルス代表の2番手の座を伊藤美誠(スターツ)と争う平野は、34.5ポイントをリードした状態で全日本選手権を迎える。

 「リードというのは60ポイントとか70ポイントの差のことで、今は(全日本選手権でも)同じところからのスタートだと言っていい。あまり気にせず自分のプレーをしていきたい。まず大事なのは自分のプレーをすることだと思います」(平野)

 今回の会見に際して、全日本に向けた意気込みを色紙にしたためた平野。書きつけた言葉は「雲外蒼天」。全日本選手権を前に、木下グループの倉嶋洋介総監督から贈られた言葉だという。

「雲外蒼天」の色紙を手にする平野。将棋の藤井聡太八冠がよく揮毫(きごう)する言葉としても有名

 「雲の上には青空があるように、自分が苦しい時があっても、逃げなければ良い未来が待っている。倉嶋監督から全日本選手権に向けてこの言葉をいただいて、『しっかり準備すれば明るい未来が待っているよ』と言っていただいた。この言葉を信じて頑張りたいと思います」(平野)

 初戦となる4回戦から厳しい戦いが待っている全日本選手権。「初戦から決勝くらいのつもりで1戦ずつ戦い抜いていきたい」と語る平野だが、先日のWTT女子ファイナルズ名古屋での中国選手のプレーを見て、感じたことがあると言う。

 「中国選手は海外選手との試合で接戦にはなるけれど、結局1本や2本の差で中国選手が勝つ。最後は必ず壁になって、簡単には相手に勝たせない。全日本では若い選手や勢いのある選手も多いし、みんな私に挑戦してきますけど、私も壁となる存在であれればいいなと思います」(平野)

 「ハリケーン・ヒラノ」と称され、ピッチの早さとスピードで圧倒する両ハンド攻撃で、世界のトップクラスの仲間入りを果たした平野。一方で昨年4月から、JOCエリートアカデミー時代に指導を受けた中澤鋭コーチ(木下卓球アカデミー女子監督)との師弟コンビが復活し、ボールの質や緩急の変化を追求。速さだけに頼らず、卓球の幅を広げることに取り組んできた。「自分の100%に近いプレーができれば中国のトップ選手に勝つこともできた。それを全日本の本番で発揮できるかが大切」と語る。

2023年7月のWTTコンテンダー ザグレブでは、決勝で世界ランキング1位の孫穎莎(中国)を破って優勝した平野(写真提供:WTT)

 昨日12月24日のクリスマスイブも、福岡での九州アスティーダ戦に出場した平野。「Tリーグが始まってからはクリスマスはいつもTリーグ、その前は世界卓球の女子選考会がこの時期でした。クリスマスといえば試合、チキンとかケーキを食べたこともあまりないので、食べたいなというのはあります」。

 プロ卓球選手として鍛錬の日々を送る平野。年末年始は「ちょっと温泉にでも行って、少しお休みしたいですね」。そして年始の1月2日から、早くも全日本選手権に向けた練習がスタートする。

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