連日、今大会の観客席を埋めている多くのファン。日本選手の応援の中にも、「美和、ファイティン!」と、中国なのか韓国からなのか、ファンの応援の声が混じる。もちろん日本の観客のほうが多いのだが……。
ある日本スタッフは練習会場で、張本智和対梁靖崑(中国)戦で張本が勝った瞬間、中国人の多くのファンが張本の勝利に拍手をした光景を見たと言う。つまり中国から来た「張本推し」のファンだ。
これが中国選手となると強烈だ。会場は女性の黄色い声援で熱くヒートアップする。完全に中国からの「インバウンド応援団」だ。しかも、これは中国の応援というよりも、自分の「推し」の選手を応援するため、海を超えて会場に足を運んでいるのだ。手には手作りの応援グッズを持ち、多くの女性が200mmレンズ搭載の本格的なカメラで推しの選手を撮影する。特に人気なのは孫穎莎と王楚欽。
昔は中国の応援といえば、「我らが中国選手」全員を応援するものだったが、今は中国選手の同士討ちでも容赦はしない。自分の推しの背中を押す。もはやこれらの女性ファンは国境を超え、国旗を気にせず、自分の推しを応援する親衛隊なのだ。
ふと思ったのは、この中国の親衛隊がいなかったら、日本でのWTT開催はどうなるのだろう。観客席がガラーンとした感じにならないだろうかと心配になった。WTTはほとんどが中国企業のスポンサーであり、チケット収入も多くが中国人ファンの購入によるものだろう。中国が強すぎて卓球に辟易としている人も多いかもしれないが、実際には中国マネーがこのイベントを支えている。もしそれがなかったら、日本開催も危うくなるかもしれない、とふと考えてしまった。
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