<卓球王国2024年5月号より>
2020年前後に注目度が上がった「微粘着テンション裏ソフト」というジャンルが、再び活況(かっきょう)を見せようとしている。従来の微粘着テンションでは高価格帯の商品が主流だったが、3月21日にリリースとなった『ヴェガ プロ ハイブリッド』は、普及モデル『ヴェガ』の名を冠するだけあり、6千円台のミドルクラスの位置づけ。輝くグリーンのパッケージの鮮烈な印象もあわせて、いやが上にも期待が高まる一枚だ。
「ハイブリッド」と銘(めい)打つ所以(ゆえん)は、ドイツラバーと中国ラバーをかけ合わせたような設計による。ドイツ製でありながら、中国製粘着性ラバーに近いトップシートの形状設計で、なおかつ微粘着を持たせており、ドイツと中国の中間的性能が期待される。
XIOM(エクシオン)日本発売元である卓永によると「扱いやすい微粘着」「エネルギー効率が高い」「回転系で癖(くせ)が少ない」というこのラバー。編集部でも試打をしてみたところ、うたい文句のとおりだった。
まずは軽打でもボールが上方向に上がる点に驚かされた。引き合い、対下回転、カウンターなど、ドライブ系打法でネットミスはほぼなく、スイングスピードを上げても高めの弧線を描いてコントロール可能。特にカウンターは、安定感があるため思い切ってスイングできるので、かなり好感触だ。
一方で、ハイエンドラバーほどのパワーは出しにくく、打球は安定するが、弾道がそろって相手にも返球されやすい点は否(いな)めない。しかし、微粘着らしくサービスやツッツキなどで強い回転をかけられるため、台上で先手を取り、安定したラリーを軸にカウンターを狙う選手に向くだろう。上級者やトップ選手には威力不足かもしれないが、使用感に癖がなく、幅広い中級者が使えるラバーと言える。
その安心感は、まさに『ヴェガ』。粘着性というと尖(とが)った性質を想像するが、このラバーは実にマイルドで卒(そつ)がない。「ミドルクラスに向けた微粘着」としてのスタンダードな立ち位置を確立できるか。注目のラバーだ。
XIOM
●微粘着テンション裏ソフトラバー
●¥6,490(税込)●厚さ:MAX・2.0・1.8㎜
●㈱卓永 03・6206・0995
photo >> Yoshinori Eto
text >> Hiromoto Takabe
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