WTTツアーの年間王者を決める『WTTファイナルズ 香港』が閉幕。大会最終日の12月14日は男女シングルスの決勝が行われ、男子は日本勢で男女通じて唯一決勝に勝ち進んだ張本智和(トヨタ自動車)が初優勝、女子は王曼昱(中国)が2連覇を達成した。

頂点に立った張本智和(左)と王曼昱
〈男子シングルス〉●決勝
張本智和 8、-5、9、-10、12、2 モーレゴード(スウェーデン)
男子シングルスを制した張本は、準決勝で林詩棟(中国)との激闘を制し、「4度目の決勝進出なので、『4度目の正直』。絶対に絶対に絶対に優勝したい。優勝するしかない」と意気込んでいた。そして迎えた決勝は、王楚欽(中国)の棄権により決勝進出を決めたモーレゴード(スウェーデン)との対戦となった。
勝負どころとなったのは、ゲームカウント2-2で迎えた5ゲーム目。ゲーム中盤からカットブロックなど多彩なプレーで勢いよく点数を重ねたモーレゴードに7-10とゲームポイントを握られたが、集中力の高いプレーを見せた張本が盛り返し、11-10で逆転。
モーレゴードに2点を奪われ、再び11-12とゲームポイントを握られるも、張本が粘り強くしのぎ、14-12でこのゲームを奪取。良い流れのまま、続く6ゲーム目も出足からサービス・レシーブで積極的に仕掛けて主導権を握り、11-3で圧倒。大会を通して、両ハンドの攻守が冴え、劣勢に立たされても攻めのプレーに徹した張本が、悲願のWTTファイナルズタイトルを獲得した。

バック対バックのラリーでは負けなかった張本

多彩なプレーを見せたモーレゴード。持ち味の豪快なフォアドライブは張本の堅陣に跳ね返された
勝利後のインタビューで張本は、「本当にうれしい気持ちと信じられない気持ちと半分半分。でもうれしいほうが強いですかね。やっぱり4回目ですし、何より優勝も久しぶりなので、いろいろ詰まってうれしいなと思います」とコメント。年内最後の大会で有終の美を飾った。

ベンチに入った岸川聖也監督(右)を抱きしめる張本。喜びを分かち合った
〈女子シングルス〉●準決勝
蒯曼(中国) W/L 孫穎莎(中国)
王曼昱(中国) 9、3、10、8 陳熠(中国)
●決勝
王曼昱 7、-8、8、8、-9、10 蒯曼
女子は、準決勝で孫穎莎(中国)の棄権により決勝進出が決まった蒯曼(中国)と、準決勝で陳熠(中国)を完封した王曼昱(中国)が決勝で対峙。前陣で早い打球点から両サイドへ厳しくコースを突く蒯曼と、中陣から緩急をつけたラリーで応戦する王曼昱。両者の激しい打ち合いが各ゲームで展開された。
王曼昱は3、4ゲーム目をいずれも接戦の末に連取。続く5ゲーム目も序盤でリードを奪い、勝負ありかと思われたが、蒯曼がロングサービスを効果的に使って逆転に成功。6ゲーム目は王曼昱がわずかなリードを保って10-8と先にチャンピオンシップポイントを握ったが、蒯曼が粘って10-10。王曼昱が再び1点を取り返し、11-10で迎えた3度目のチャンピオンシップポイントで、蒯曼のドライブを相手のフォアサイドへ鮮やかなバックカウンターを決め、優勝。昨年に続き、2連覇を飾った。
「蒯曼は非常に粘り強かった。劣勢から何度も挽回されてプレッシャーも大きかったが、最後はプレッシャーを跳ね除けてタイトルを掴むことができた。自分のこれまでの取り組みを認めたい」(王曼昱)

勝利の瞬間。壮絶な戦いを制した王曼昱は大きく吠えた

準優勝の蒯曼は前陣での巧みなコース取りが光り、好ラリーを連発するも及ばず
写真提供:WTT
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