卓球王国 2021年7月20日 発売 vol.292
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「全日本は誰が強いのかを証明するための場です」水谷隼

水谷は優勝後の記者会見で重圧から解放され、安堵(あんど)の表情を見せた

 

「人よりも上に立とうと思ったら、

人よりも多くの犠牲を払わないと

絶対立てないです。

チャンピオンになろうと思った、

その過程で失ったものは大きいです」

 

●——そこにいるのはしんどくない? 注目されるし、批判されやすい。

水谷 まわりはどうでもいいです。勝てばいいんですよ。自分は自分です。人よりも上に立とうと思ったら、人よりも多くの犠牲を払わないと絶対立てないです。チャンピオンになろうと思った、その過程で失ったものは大きいです。友だちもいなくなるし。

本当に強くなりたいと思うのなら、ぼくみたいにひとりでも中国に行ったり、ひとりでヨーロッパに行ったりするべきだと思います。

●——全日本チャンピオンとして横浜の世界選手権に臨みます。

水谷 横浜ではたくさんの人が応援に来るだろうし、卓球をしてない人もしている人も応援に来ると思う。メディアもそうだし、みんなに見られているところで、自分のプレーを出したいですね。

目標としては、ダブルスではぜひメダルを獲得したい。シングルスでは中国選手と当たるまでは負けられない。中国選手と対戦したら、勝つにしても負けるにしても、次につながる試合をしたい。

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19歳にしてチャンピオンとしての自覚と誇りを強く意識する水谷隼。全日本3連覇は男子では史上6人目だが、もちろん10代での3連覇は史上初めて。有望な若手が次々と出てくる男子卓球界の中で、水谷に追いつこうとする若い選手に対し、まるでその強さを誇示するかのように戦い、押しのけた今回の優勝。

日本の卓球ファンは、若きチャンピオンに「世界で勝つ」ことを望んでいる。その期待という十字架を、呪縛ではなく励ましとしてエネルギーに変えることが、水谷にはできるはずだ。

 「夢は五輪の金メダル」と公言する水谷は国内の記録を次々と塗り替え、世界の高みに確実に近づいている。                 (文中敬称略)

 

水谷隼 みずたに・じゅん

1989年6月9日生まれ、静岡県出身。全日本選手権バンビ・カブ・ホープスでそれぞれ優勝、ジュニアで男子史上初の3回優勝。一般では17歳7カ月で優勝し、史上最年少優勝の記録をうち立て、今年3連覇を達成。世界選手権広州大会では団体銅メダル獲得、北京五輪日本代表。ドイツのブンデスリーガ1部『デュッセルドルフ』、中国超級リーグでもプレーした。青森山田高卒、明治大に在学。スヴェンソン所属。世界ランク29位(2009年2月現在)