JTTLファイナル4男子決勝は年間総合1位の日鉄物流ブレイザーズと年間総合2位のシチズン時計の対戦に。互いに譲らぬ戦いは5番までもつれたが、最後はシチズン時計が勝ち切り悲願の初優勝を果たした。
●男子決勝
〈シチズン時計 3-2 日鉄物流ブレイザーズ〉
上村慶哉 4、8、-3、9 藤村友也○
○御内健太郎 9、6、-9、9 大島祐哉
○上村慶哉/酒井明日翔 5、-10、2 藤村友也/髙見真己
三部航平 2、-7、8、-7、-9 定松祐輔○
○酒井明日翔 -11、-4、7、7、10 髙見真己
シチズン時計が1番に送り込んだのは、昨日の準決勝5番で圧巻の勝利をあげた上村。対する日鉄物流は好調の藤村が1番に。「1番に起用された期待に応えたかった」と試合後に語った上村は、中陣でのラリー戦に強い藤村と互角の打ち合いを繰り広げた。第1、2ゲームを奪われながら、諦めないプレーで3ゲーム目を3点で取り返す。逆転の兆しが見えかけたが、藤村の気迫のこもったプレーに押され1-3で敗北。負けたものの、本気で勝ちに行く姿勢はシチズン時計に勢いをもたらした。
2番で出場したのはこれが団体戦ラストマッチとなる御内。日鉄物流がゴールド契約選手でカットマンに強い大島を前半に起用することは予想できたため、シチズン時計優勝の可能性を上げるために御内は後半での出場かと思われたが、御内は大島を避けることなく真っ向勝負を選んだ。そんな御内の相手はやはり大島。今年の日本リーグでは無敗の大島が優勢かと思われたが、御内の団体戦にかける思いが大島を上回る結果に。カットを吹き飛ばすような大島のパワードライブをフェンスギリギリまで下がり返球して大島のミスを誘い、うねるようなフォアドライブで得点を重ねて2ゲームを先取。3ゲーム目は奪われるも、4ゲーム目を9点で奪い見事大島を破った。これが最後の団体戦とは思えないほどのプレーを見せた御内。最後の試合を勝利で終えた。
優勝のために両チームがなんとしてでも取りたい3番のダブルス。シチズン時計は上村/酒井、対する日鉄物流は後期日本リーグ最優秀ペア賞獲得の藤村/髙見を起用。安定感で勝る藤村/髙見が多少優勢かと思われたが、御内の勝利に感化されたシチズン時計ペアが素晴らしい試合を見せる。上村の安定感と酒井の破天荒なプレーがうまく噛み合い1ゲーム目を奪うと、2ゲーム目もジュースへ。ここは藤村/髙見が持ち前の安定感で奪うも、3ゲーム目は上村/酒井が日鉄物流ペアを圧倒し、2点で試合を締めた。
悲願の初優勝へ大手をかけたシチズン時計は4番に三部が登場。日鉄物流の定松に対して2-1とリードを奪うが、あとがない定松が会心のプレーを連発。大逆転で三部を下して、5番へと望みをつなげた。
初優勝を狙うシチズン時計と2大会ぶりの王座奪還を狙う日鉄物流の最終対決。シチズン時計は酒井、日鉄物流はルーキーの髙見に運命を託した。両者は今年の日本リーグで2度対戦しており、対戦成績は髙見が2勝と、酒井にとっては分が悪い相手だ。試合は1ゲーム目から髙見のペースで進み、酒井は1、2ゲーム目を連続で奪われ万事休すかと思われたが、「冷静になろうと考えた」という酒井が3ゲーム目から息を吹き返した。一撃で相手を仕留められるような威力のあるボールが面白いように決まりだすと、3、4ゲーム目を7点で奪い返す。最終ゲームはジュースになりながらも、最後は激しい打ち合いを制した酒井が勝利。チームの初優勝を決めた。
シチズン時計は50年以上の歴史の中でファイナル4初優勝。団体戦が組める最小人数である4人で戦い抜いたこの1年。終わってみれば前期日本リーグ優勝、そして今回のファイナル4優勝と、十分な結果を残した。そんなシチズン時計を支えた御内はこれで団体戦を引退。チームの大黒柱として活躍を続け、観客を魅了してきた御内のプレーが日本リーグで見れなくなると思うと悲しいが、来年からの新たなシチズン時計の活躍に期待したい。日本リーグ1部通算71勝35敗、数々のプレーで観客を沸かせ、最後の最後でチームに新たな歴史を刻んだ御内健太郎。記録にも記憶にも残る偉大な日本リーガーだった。
「激戦になると思っていましたが、ここまで激しい試合になって、その中で選手4人、試合の中で本当に自分たちの力を出して、最後の集大成で最高のパフォーマンスを発揮してくれたかなと思います。
入社して(ファイナル4で)優勝できそうになったこともあったんですけど、本当に会社のサポートや家族の支えがあって、友人やチームメイトの支えがあってここまで来れたと思います。この優勝は自分たちのものではなく、支えてくださった皆さんに最高の形で恩返しできたのかなって思います。本当に応援してくださる皆さんに感謝の気持ちでいっぱいです」(御内監督兼選手)
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