5月3〜7日、河南省新郷市の平原(建業)体育センターで行われた『2021直通WTT大満貫(WTTグランドスマッシュ)・世界選手権』。完成から間もない新しい体育館で、東京五輪の公式卓球台を使用し、観客も入れて試合が行われた。遅ればせながら、まず男子シングルスの結果は下記のとおり。
〈男子シングルス〉●予選リーグ(勝/敗)
A
1位:樊振東(3/0) 2位:鄭培峰(2/1)
3位:馬特(1/2) 4位:全開源(0/3)
B
1位:林詩棟(2/1) 2位:許シン(2/1)
3位:閻安(1/2) 4位:牛冠凱(1/2)
C
1位:馬龍(4/0) 2位:周雨(3/1)
3位:向鵬(2/2) 4位:薛飛(1/3)
5位:侯英超(0/4)
D
1位:方博(3/1) 2位:林高遠(3/1)
3位:徐海東(2/2) 4位:王博(1/3)
5位:孫正(1/3)
E
1位:梁靖崑(3/0) 2位:徐瑛彬(2/1)
3位:袁励岑(1/2) 4位:曽蓓勛(0/3)
F
1位:王楚欽(2/1) 2位:劉丁碩(2/1)
3位:周愷(1/2) 4位:賽林威(0/3)
G
1位:徐晨皓(4/0) 2位:梁厳苧(3/1)
3位:黄友政(2/2) 4位:厳昇(1/3)
5位:王林クン(0/4)
H
1位:周啓豪(4/0) 2位:張煜東(2/2)
3位:孫聞(2/2) 4位:陳垣宇(1/3)
5位:于子洋(1/3)
●第2ステージ・準々決勝
樊振東 -11、5、9、-4、5、6 林詩棟
王楚欽 6、-12、6、4、6 徐晨皓
周啓豪 5、6、6、-4、-9、4 梁靖崑
馬龍 9、9、8、-8、7 方博
●準決勝
樊振東 7、6、-5、10、-9、8 王楚欽
周啓豪 5、11、-9、-8、12、-4、8 馬龍
●3位決定戦
馬龍 10、-5、9、9 王楚欽
●決勝
周啓豪 -4、8、-3、10、8、9 樊振東
男子シングルス優勝はダークホースの周啓豪。準々決勝で梁靖崑、準決勝で馬龍、決勝で樊振東と19年世界選手権個人戦の代表メンバーを連破し、衝撃的な優勝を飾った。
周啓豪は1997年1月12日生まれの24歳。決勝で対戦した樊振東は1997年1月22日生まれとわずか10日違いで、出身も同じ広東省広州市。しかし、人民解放軍チームに入った樊振東が15歳で世界ジュニアチャンピオンとなり、瞬く間に中国男子の主力選手としての地位を固めていったのに対し、周啓豪は長く国家チームの中堅選手という位置づけだった。
身体能力は高いが、台からやや距離を取ってフォアハンドで動く周啓豪のプレーは攻めが遅く、13年世界ジュニア選手権では準々決勝で森薗政崇に1ー4で完敗。森薗は当時、「粘着性ラバーは気にならないし、そこまでやりにくさはない」とコメントしていた。その後は17年の「直通デュッセルドルフ(世界代表選考会)」で馬龍に勝つなど、時折大物は食うものの、今回の活躍は特大のサプライズ。フォアの快速フットワークに加え、台上の強力なチキータと後陣からの一発のバックドライブが猛威を振るった。
決勝の樊振東戦を戦い終え、「120%のプレーができたと思うよ。自分がこんなに良いプレーができるなんて想像しなかったよ、全くね」と興奮を隠せなかった周啓豪。「樊振東とやるとどうしても不利になる。ぼくのプレーはフォアハンド主体だけど、彼は両ハンドをバランスよく振れるからね。だから大事なのは技術と戦術の変化によって、ぼくのフォアハンドで彼を制していくことだった。コートではどうやったらこの1点を取れるか、1本ずつ考えながらプレーした」(周啓豪)。
これで今年11月に開催予定の世界選手権ヒューストン大会(個人戦)の出場権を獲得したかに思えた周啓豪だが、実はこの『2021直通WTT大満貫・世界選手権』、5月26〜30日に同じ河南省の南陽市で第2ラウンドが行われるという。世界選手権やWTTグランドスマッシュの出場権は、第2ラウンドを終えた総合成績によって決まる見込みだ。
一方、東京五輪の代表入りが有力視される樊振東と馬龍は、周啓豪に名を成さしめた形だ。決勝で敗れた樊振東は「プレー全体は悪くなかったが、相手への対応が遅れてしまったのは確かだ。主導権を握るラリーが多かったのに、決め切れずに少しあわててしまい、周啓豪に反撃のチャンスを与えてしまった」とコメント。また、許シンは予選リーグで海南省チーム出身の16歳・林詩棟に敗れ、大きな課題を残した。
※写真・コメント提供:『ピンパン世界』
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