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別冊グッズ『こだわりすぎた男たち』アーカイブ4「有無を言わせぬ造形美」

篠平静(本城マスターズ)

[Profile]1946(昭和21)年2月6日生まれ、愛知県出身。社会人になった18歳の時から卓球を始め、16年全日本マスターズ・ローセブンティ出場、17年度東京選手権ローセブンティベスト16。右ハンドソウ両面裏ソフト攻撃型

工具の如き独特の風貌「人と違う卓球をやりたい」

ハンドソウの変形ラケットで、得意のバックハンドから 「超」がつくほどの前陣カウンターを連発する篠平静。 世界にひとりだけ、まさにオンリーワンのプレースタイルだ。

ひと目惚れしたハンドソウ、自己流のカスタマイズ

社会人になった18歳の時に卓球を始めた篠平静が、とあるスポーツイベントでハンドソウラケットに巡り合ったのは1975(昭和50)年。40年以上も前のことだ。今はなき用具メーカー『ピンメイト』が販売しており、「横回転のフォアドライブが曲がる」というのがキャッチフレーズだった。

「どっちかというと目立ちたがり屋。同じ卓球をやるなら、みんなと違う卓球をやりたい」と言う篠平。ただでさえ珍しいハンドソウラケットを、迷わず自己流にカスタマイズ。使い込まれた工具のような、英語の記号のような、独特の風貌が生まれた。

しかも篠平のプレーはバックハンド主戦。ノーバウンドで打っているのかと見紛うほど、打球点の早いバックのカウンターを連発し、フォア面での処理が難しいフォア前はバックで回り込み、チキータで返球する。カーブドライブが打ちやすい、ハンドソウの持ち味にとらわれずに築き上げたプレースタイルはなんとも痛快だ。前陣でのプレーが主体なので、両面のラバーは弾みを抑えた1・8㎜を使用する。

ピンメイト製の初代のラケットは折れてしまい、現在使用しているのはヤサカ製の3枚合板を改造したもの。このラケットとともに、自宅のある愛知県から遠く広島県や群馬県まで車で遠征し、オープン大会に出場。今日もまた行く先々で、対戦する選手たちを驚かせているのだ。

 

握り方はシェークラケットとほぼ同じ。重量は180g程度だが、重心はかなり先端寄りにあり、重く感じる

改造して折れやすくなったグリップ部分には、随所に補強のあとが見える

処理しにくいフォア前は横回転を入れたチキータで返球。台の80%以上をバックハンドでカバーする

 

●使用用具

ラケット:ハンドソウラケット C-H3P(木材3枚・ヤサカ) ※廃番

フォア面のラバー:ヴェガ プロ(1.8mm・XIOM)

バック面のラバー:ヴェガ ヨーロッパ(1.8mm・XIOM)

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