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インタビュー

平野友樹が現役を引退。「これまでの卓球人生を振り返ってみて、自分らしい終わり方だなと」

 

個人戦最後の試合になった昨年の全日本選手権には、姉の早矢香がベンチに入った

 

●卓球を始めてから引退まで何年になりますか?

平野 6歳の9月1日から卓球を始めて、今は30歳なので24年になります。長かったのか、短かったのかはわかりませんが、24年間も卓球ができたことは幸せですね。ぼくの中では、輝いたままラケットを置きたいという思いがありました。「あいつ弱くなってきたから、そろそろ引退かな」というのではなく、「まだできるのにもったいない」というくらいで終わるのがいいんじゃないかなという。

選手として悔いがないのかと言えば、ひとつだけあります。それは日本代表として世界選手権に出場することができなかったということです。その1点だけですね、悔いが残っているのは。

 

●最後の全日本選手権では、姉の早矢香さんがベンチに入りましたね。

平野 姉もそうでしたが、日本の女子のトップを見るとコース取りや作戦の立て方がとてもうまいんですよね。そこを見習いたいということで姉に指導をお願いしたのが最初です。コロナ禍で途切れてしまいましたが、定期的に練習を見てもらいました。最後の全日本ということで姉に初めてベンチに入ってもらいました。

ぼくが負けた後に姉が「自分が現役時代とは卓球界が変わりすぎていて、私がついていけなかった」と言われたんですが、実際にはぼくの技術と戦術がついていけなくて負けました。

 

●姉弟で同じ卓球というスポーツをしていて、全日本チャンピオンに5度輝き、五輪と世界でメダルを獲得しているお姉さんと比較されることはありませんでしたか?

平野 姉と比べられることはなくて、むしろ姉のおかげでぼくがおいしい思いをすることのほうが多かったですね。だから、ネガティブな感情はありませんでした。姉をきっかけにいろいろな方から声をかけてもらったり、親しくしていただくこともたくさんありました。

年齢が8歳も離れているので、姉というよりもひとりの偉大なプレーヤーとしてしか見ることができなかったですね。これがもし1、2歳の違いだったらライバル意識が芽生えていたのかもしれませんね(笑)

ファイナル4を終えて、姉から「お疲れさまでした。これからはスポーツ選手としてではなく、いち社会人として見られることが多くなるから、そういう部分をしっかり頑張って行こう」という言葉をかけてもらいました。

 

2017年1月の全日本選手権でシングルスで3位。表彰台に登った(右端が平野)

 

●今後についてはどう考えていますか?

平野 協和キリンで仕事をしっかりと頑張りたいと思っています。これからは企業人として卓球を応援しながら、会社の経営理念、ビジョンを理解して、仕事で恩返しをしたいと思っています。選手と監督は終わりますが、何か自分にできることがあれば仕事に支障がないようにしながら、卓球界にも何か恩返しができればと思っています。

 

●最後にこれまで応援してくれたファンへのメッセージをお願いします。

平野 長い間、応援してくださいましてありがとうござます。実家を出て中学から仙台に行き、そこからたくさんの方に支えられて、勝つことができた試合がたくさんありました。そういう方々への感謝の思いしかありません。今後も何か卓球に恩返したがしたいと思っているので、見かけた時は気軽に声をかけてください。

 

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