今年5月、南アフリカ・ダーバンで行われた世界選手権個人戦。日本勢は女子シングルス準々決勝で、早田ひなが王芸迪(中国)との激闘を制して3位入賞を果たし、男子シングルス準々決勝でも張本智和が梁靖崑(中国)をあと一歩まで追い詰めた。
一方で、男女シングルス決勝はいずれも中国勢対決。男子シングルスは樊振東の2連覇で、中国勢が10大会連続優勝。女子シングルスも孫穎莎が制し、こちらはなんと中国が15大会連続優勝だ。
男女ともすでにシェークドライブ型が主流になっている中国。男子で言えば、ヨーロッパの仮想選手の役割が大きかった1980年代の陳志斌や許増才を第1世代とすると、シェークドライブ型として「ひとり立ち」した馬文革や孔令輝が第2世代、よりパワフルな攻撃力を備えた王励勤や劉国正が第3世代、チキータという革命を起こした張継科と従来のスタイルを磨き上げた馬龍が第4世代……というように世代交代と革新を重ねてきた。
そして今、男子シングルス決勝を戦った樊振東や王楚欽、あるいは女子の孫穎莎などはどのようなプレースタイルへ進化しつつあるのか。監修者としてその語り部になっていただいたのが、張本智和選手のプライベートコーチとしてダーバン大会にも帯同した董崎岷さん。6月の前期日本リーグで会ってお話を聞いたのだが、面白い話が出るわ出るわ……。そのキーワードとなるのが、最新号の技術特集のタイトルにした「強強対抗(チャンチャンドイカン)」なのだ。
中国卓球の視点で、実際に現地でプレーを見ているからこそわかる技術や戦術の解説。もちろん、中学生や高校生がすぐに真似できるものではない。しかし、世界の卓球界の進路を予測し、紹介するのも、僭越ながら卓球王国の役割のひとつだと思うのだ。中国のトップ選手が何を感じ、何を考えながらボールを打ち合っているか。最新号の誌面で疑似体験してみてください(柳澤)。
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