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「ハリケーン」復活。平野美宇の選考会V「誰に勝ちたいというよりも、レベルの高い全員に勝たなければ代表になれない」

「今日は最初の2ゲームを取られてからも動揺せずに、
自分がやれること、自分が練習してきたことを
徹底して最後まで維持できた」(中澤コーチ)

優勝を決めた後に中澤鋭コーチ(木下グループ)は平野のプレーをこう説明した。
「気持ちの部分が一番評価できると思います。今まで競った場面や苦しい場面で凡ミスが多く、負けてしまうというパターンが多かったけれど、今日は(決勝で)最初の2ゲームを取られてからも動揺せずに、自分がやれること、自分が練習してきたことを徹底して最後まで維持できた。そこが一番評価できると思います。
サービスとレシーブの引き出しは以前より多くなっている。レシーブの部分でも、チキータでレシーブすることが多いので、それが効かない時に、ストップとか、フリックとか、結構幅広くできるようになったので、心の余裕もあったのではないかなと思います」
「卓球はいろんな場面があります。相手から攻められた時、自分から攻める時、自分が攻めるけど決まらない場面で五分五分になっても、相手がミスする場合もあるので、そのようなポイントのとり方も大事です。その部分を彼女に認識してもらうことができたので良かったと思います。
平野は成長していくしかないです。すべての選手との試合が糧(かて)になっていると思います。順調な時、不調な時でも最後まで我慢してプレーすることが一番大事ということをずっと話していました」

平野が世界に飛び出していく時期、JOCエリートアカデミーで平野を指導していたのは中澤コーチだった。その後、平野には別のコーチが付いていたが、今年、平野美宇が木下グループ卓球部に移籍すると再び、「平野・中澤コンビ」が復活した。
1回目、2回目の選考会ではともに準々決勝で敗れた平野。もちろん、3回目の選考会に期する思いは強かったはずだ。中国の次にレベルの高い選手層を誇る日本女子。五輪代表を勝ち取るための過酷な戦いは始まったばかりだ。

 

優勝を決めた後に平野は振り返った。

「サービスもレシーブも種類が増えた。これがダメだったら違うのをやってみようという引き出しが今までよりも増えたと思う。(決勝で)2ゲーム取られても、自分の中で切り替えられたと思うので、そこが前より成長できたと思います。
練習もたくさんしましたけど、ちょうど1カ月くらい試合がなかったので、そこで木下グループの倉嶋洋介監督や中澤コーチにアドバイスをいただいたり、たくさんの方が協力してくださって、そのお陰ですごく気合も入り、自信を持ってプレーすることができたので、しっかり練習したことが勝因につながった。
今回頭がすごく働いていたと思う。今までは技術には自信があったんですけど、試合でそれをどう発揮するかというのが課題でもあった。今回は自分で考えてプレーすることができた」
ーーそれは1カ月の練習の積み重ねによるものですか?
「1カ月の練習だったり、ビデオ見たり、いろいろ自分で工夫したことがうまくつながったかなと思います。今(木下グループ)、環境がすごく良くて、練習場もすごくいいですし、トレーニングのコーチだったり、監督とかコーチもすごく充実していて、女子の選手もすごく強いです。男子のチームもあるので、一緒にみんなで切磋琢磨して頑張っているのが、私にとってとても良くて、周りの選手にも刺激されて強くなれているんじゃないかなと思います。
(来年の)世界卓球に本当に出たいなと思って、今回それを一番の目標に頑張っていたので、今回ポイント的にはだいぶ目標のポイントを取ることができました。でもここじゃなくて(五輪代表の)2枠に入ることが目標です。来年からは海外の大会もポイントに入ってくると思うので、世界で勝てるようにこれから努力していきたいです」

船橋での選考会の優勝で、平野美宇は選考ポイントの順位で3位に上がり、来年の世界選手権ダーバン(南アフリカ)大会のアジア大陸予選に出場できる5人に入ることが確実視されている。
2017年の世界選手権メダリストはパリ五輪への険しい道へ足を踏み入れた。
今回の選考会の優勝後も、記者の前で感情を高ぶらせることもなく、冷静に答えていた平野美宇。目標を定めて突き進もうとするアスリートの姿があった。 (今野)
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2024年パリオリンピック選考ポイント(11月14日時点)
●女子
1 早田ひな 162pt
2 伊藤美誠 113pt
3 平野美宇 106pt
4 木原美悠 105pt
5 長﨑美柚 96pt
6 芝田沙季 94pt
7 石川佳純 86pt
8 佐藤瞳 69pt
9 橋本帆乃香 60pt
10 張本美和 55pt4

中澤コーチ(左)とのコンビも復活した

 

決勝で早田を破った平野

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