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インタビュー

全日本混合ダブルス準優勝の田中千秋が現役を引退。「最後にずっと戦ってきたライバルと試合ができて良かった」

1月に行われた全日本選手権。3月の東京選手権をもって引退となる田中千秋(豊田自動織機)は、最後の全日本で弟の佑汰(愛知工業大)と組んだ混合ダブルスで準優勝を果たした。

最後の全日本で有終の美を飾った田中に、全日本の感想とこれまでの現役生活について話を聞いた。

 

ーーー引退を決めた理由はなんですか?

田中千秋(以下:田中):豊田自動織機に入社した時に、自分の中で4、5年でラケットを置くというのは決めていました。コロナで試合がない時期もあったので、5年間しっかりやってやめようかなと。3月は年度の終わりで区切りがいいし、後輩にも引き継ぎがやすい。だから、東京選手権で引退しようと思っていました。

 

ーーー1月の全日本選手権では弟の佑汰くん(愛知工業大)と混合ダブルスを組みました。

田中:実は、毎年全日本の前は「ミックスを組んでほしい」ということを弟には言っていました。でも、弟はシングルスに重きを置きたいタイプなので、2017年度大会で組んだのを最後にずっと断られていました。だけど、私が今年で引退するということを伝えたら、「最後だから良いよ」って言ってくれたんです。弟のほうが実力が上で、弟にしか決定権はないです(笑)。

 

ーーー決勝戦まで進めるとは思っていましたか?

田中:決勝までいけるとは誰も思っていなかたっと思います。練習もほとんどしていなかったし、最初は「全日本で両親の前で試合ができれば良い」くらいの気持ちでした。

実際、私たちは愛知県予選もギリギリの通過でした。代表決定戦で負け、敗者復活のひと枠をなんとかつかんで、首の皮一枚つながった感じです。

予選が終わってからも練習はほとんどしませんでした。弟が国際大会に出場していたというのもありますが、「シングルスにかけているから」と言われていたので、練習をしたのは全日本に出発する日の午前中と、試合当日の朝くらいです。

 

ーーー全日本の表彰台は初めてですか?

田中:初めてです。自分が表彰台の上に立てているのが現実的じゃないというか、半分他人事のような感じでした。

姉弟らしい抜群のコンビネーションで、ノーシードからの一気に決勝まで駆け上がった

最初で最後の全日本での表彰台に立った田中千秋(左)

ーーー田中選手は全日本のシングルスでも2回ランク入り(ベスト16)をしています。

田中:学生の頃にシングルスのランク入りを目指していたけど、結局1回も入れませんでした。社会人になって「全日本のランクに入れたらいいな」くらいの淡い目標として掲げていたら、1年目にランク入りしてしまったので自分でもびっくりしました。

 

ーーー今までの全日本で思い出に残っている試合は?

田中:初めてランクに入った時はすごく印象に残っています。当時、ランク決定戦が中国電力の土井みなみさんで、土井さんにとってはそれが最後の全日本でした。その時、私のベンチに入ってくれた森美紗樹さんは土井さんと高校の先輩後輩の関係だった。試合前は土井さんが引退することを知らされていなかったです。試合後に、「実はこれで引退」というのを言われて、ランクに入ったうれしさと森さんの気遣いと、いろんな気持ちを感じたのを覚えています。

2018年度大会では5回戦で土井みなみ(中国電力)を破り自身初となるランク入りを果たした

翌年の2019年度大会では5回戦で宋恵佳(中国電力)を破り、2年連続のランク入り

 

ーーー土井選手との試合が一番印象に残っている?

田中:今回を除けばそうですね。今回の弟との混合ダブルスは卓球人生の中でもダントツで楽しかったです。

 

ーーー弟の佑汰くんは田中選手にとってどんな存在ですか?

田中:客観的にみたらすごい選手だと思うんですけど、結局弟であることに変わりはないです。はたから見ると落ち着いていてクールなイメージがあると思うんですけど、ただの悪ガキというか、ふざけているし、「お茶買ってきて」ってパシられたりもします(笑)。確かに尊敬する部分はあるけど、8.9割くらいは可愛い弟だなという感じですね。

田中選手が「可愛い弟」と語る佑汰。今年の全日本ではシングルスでベスト8に入った

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