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インタビュー

アジア選手権で王楚欽を撃破。今、大注目の田中佑汰にインタビュー

 

 

●4回戦で林鐘勲を3-1で下して、準々決勝に進みました。

田中 アチャンタ戦を良い状態で勝つことができて、林鐘勲との試合では勢いもありました。林鐘勲とは今回は初対決でしたが、お互いに昨シーズンにフランスリーグでプレーしていて、彼がフランスリーグでは一番強い選手だったので、対戦してみたかったんです。でも、それがかなわなくて今回初対戦になりました。

林鐘勲戦は1ゲーム目をジュースで取れたことが大きかったです。もし1ゲーム目を取られていたら0-2になっていたので、そこから勝つことは難しかった。勝因としては、ぼくの台上のプレーに対して林鐘勲がタイミングが合わなくて、やりづらそうにしていたことです。台上で崩すことができたので、有利に試合を進めることができました。

 

●準々決勝では林昀儒(チャイニーズタイペイ)にストレートで敗れて、表彰台は逃しました。林昀儒戦を振り返ると?

田中 林昀儒は強かったですね。ただ、ぼくはこの日にアチャンタ、林鐘勲、男子ダブルスと続けて3試合をして、4試合目が林昀儒でした。ホテルに戻って食事を取る時間がなくて、会場で補食を取りながら試合を続けていて、体力的に限界に近くなってしまっていました。その点では今後強化していかなければいけないと感じましたね。

林昀儒のプレーは、サービスとレシーブの質が同じ左利き選手である2選手(王楚欽、林鐘勲)よりも高かったです。ラリーになると王楚欽、林鐘勲のほうが強かったですが、林昀儒には最後までサービス、レシーブで崩されて、ずっと自分の展開を探しながら、最後まで見つけられずに負けてしまった感じです。

 

●林昀儒には勝てなかったけれど、それでも今大会のプレーで田中君が得たものは大きいと感じています。

田中 ぼくのジャイアントキリングは、2019年のITTFワールドツアー・ブルガリアオープンでサムソノフ(ベラルーシ)以来で、この数年は世界トップの外国選手に勝てていませんでした。そういった意味でも王楚欽に勝っただけではなくて、その後に林鐘勲にも勝てたことで、自分に自信を持つことができた大会でした。シングルスに入る前の団体戦の順位決定でゲラシメンコ(カザフスタン)に負けてしまいましたが、そこから気持ちを切りかえて、シングルスで戦うことができたことは、少し成長できた部分だと思います。

 

●今大会の活躍で、パリ五輪の選考ポイントで順位を上げて3位になりました。

田中 自分としては、パリ五輪の代表権は2位以内に入って自力で勝ち取るしかないと思っています。自分にとっては残りの国内選考会、Tリーグの勝利ポイント、そして全日本選手権とポイント対象の試合で全力を尽くすのみです。

ただ、王楚欽はほぼ間違いなく中国代表でパリ五輪に出てくると思うので、そういう選手に今回勝てたことは大きいですし、それは自分にとってだけではなくて、ほかの日本選手にとっても「自分にも王楚欽に勝つチャンスはある」と思うことができると感じていて、日本チームにとっても良いことだと思っています。

 

●田中君は個人で活動しているので、自費参加の国際大会のためにクラウドファンディングを始めていますね。それについて話してもらえますか。

田中 ぼくはWTTなどの国際大会には自費参加での出場が多く、そうなると航空券やホテル、そのほかにも大きな金額が必要になります。パリ五輪を目指していく中で、自分の力をつけていくためには国内大会だけではなくて、国際大会で戦うことが必要で、そのためのご支援をクラウドファンディングという形でお願いしています。

ありがたいことにたくさんの方々が賛同してくださっていて、感謝の気持ちでいっぱいです。自分には全力で最高のプレーをして、それを見ていただくことが恩返しになると思っています。

 

※田中選手のクラウドファンディングには、下記から該当のサイトに行くことができます。

田中佑汰 応援プロジェクト by 明治安田生命

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