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大会報道

明徳義塾高からサンリツに入社して6年目。23歳の三村優果が個人戦で全国初タイトル!!

全日本社会人選手権の女子シングルス。最終日の1029日は準々決勝から行われた。

 

前回優勝で第1シードの井絢乃(中国電力ライシス)は、サウスポーでラリー戦のコース取りがうまい松岡優香(愛媛銀行)に苦しみながらもフルゲームで振り切る。

全日本学生チャンピオンで今春にキヤノンメディカルに入った黒野葵衣(キヤノンメディカル)は打球点の高いカットと両ハンドスマッシュでベスト4に入り、前回ベスト8の三村優果(サンリツ)は、バック面の表ソフトの変化を使いながら、枝廣瞳(中国電力ライシス)の両ハンドドライブを抑えて準決勝へ。

前回大会で井と組んだダブルスで優勝している成本綾海(中国電力ライシス)は、シングルスでの優勝に挑む。準々決勝の対戦相手の笹尾明日香(日本生命)が棄権のため、不戦勝で準決勝へ。笹尾は同日(1029日)に愛知県西尾市で行われたTリーグに出場。

 

準決勝を勝ったのは黒野と三村。黒野はカット打ちを苦手としている井を破り、三村は優勝候補のひとりである成本に逆転勝ちした。

決勝はカットの黒野とシェーク異質攻撃型(フォア裏、バック表)の三村の対決になり、どちらが勝っても初優勝になる。

 

三村は丁寧かつ変化をつけたプレーで見事なカット攻略を見せた

 

「カットマンが苦手なので、決勝は不安があったんですけど(今大会では)43で勝ってきた試合もあったので、ぎりぎりでも43で勝てばいいという気持ちで臨んだ」という三村は、バックの表ソフトのツッツキで長短と、切る、切らないの変化を混ぜて黒野のスマッシュを封じると、フォアドライブとバックミートを使い分けて、打ち急がずにじっくりと黒野のカットを攻めた。

 

ツッツキは一見地味な技術に見えるが、三村は質の高いツッツキで黒野を攻略した

 

三村、黒野とも一歩も譲らずに勝負は最終ゲームへ。ツッツキ、ドライブともギアを引き上げた三村が中盤で黒野を引き離すと、そのまま優勝へと突き進んだ。

「個人戦での全国タイトルは初めてです。サンリツの先輩方がこの大会で優勝している人が多いので、それに続いて私も優勝することができてうれしいです。すぐに日本リーグがあるので、気持ちを入れ替えてチームの優勝に向けてがんばりたい」と優勝後に話した。

 

三村はツッツキでチャンスをつくり、フォア強打に結びつけた

 

明徳義塾高からサンリツに入社して6年目。23歳の三村が個人戦で初タイトル

 

女子シングルス準々決勝

井絢乃(中国電力ライシス) 7−4−56−974 松岡優香(愛媛銀行)

黒野葵衣(キヤノンメディカル) −67−867−68 菅澤柚花里(デンソー)

三村優果(サンリツ) 79−5−6−878 枝廣瞳(中国電力ライシス)

成本綾海(中国電力ライシス) 不戦勝 笹尾明日香(日本生命)

 

準決勝

黒野葵衣 54−678 井絢乃  

三村優果 7−8−56−10108 成本綾海

 

決勝

三村優果 11−107−69−66 黒野葵衣

 

2位の黒野は女子のカットマンにはめずらしく高い打球点から振り下ろすようなカットで、優勝候補の赤江夏星(デンソー)ほかを破るなど活躍した。優勝まであと一歩だっただけに悔しい敗戦になっただろう。しかし、今大会の戦いからは、来年も優勝候補の一角として上位に食い込むことができ、優勝を狙うことができると感じ取ることができた。

 

黒野の高い打球点で上から入るカットは、守備ではなく立派な攻撃になっていた

 

3位の井と成本はダブルスの決勝で負けているだけに、どちらもシングルスにかける思いが強かった。井は鬼門のカットマンにつかまり、成本は結果論になるが最終日の初戦が準決勝になったことで、体やプレーにエンジンのかかり具合という面ではややハンデになってしまったかもしれない。

 

ドライブとスマッシュで黒野に挑んだ井

 

三村と激しい打ち合いを演じた成本

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