日本男子団体の3大会連続メダル獲得の夢を打ち砕いたフランス。その中核にいたのは20歳のアレクシスと17歳のフェリックスの「ルブラン兄弟」だ。
「月刊卓球王国」は2022年11月に兄弟にインタビューしたが、以下のコメントは興味深い。
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[A(アレクシス)ルブラン] コロナ禍の中で、ぼくらは「チーム・ルブラン」としての環境を作った。
●―それはINSEP(ナショナルトレーニングセンター)に集まって行うフランス型の強化とは違いますね。日本のトップ選手のようです。「チーム伊藤」「チーム早田」「チーム張本」のように、各自のチームの中にフィジカル、メンタル、技術コーチ、マネージャーを置くようなイメージですね。
[A.ルブラン] そのとおり。そういう意味では日本選手のやり方をコピーしようとして、参考にしたんだ。伊藤美誠、石川佳純、張本智和のやり方だよね。
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それまでのフランス選手はINSEPで集合訓練をして、その合間にフランスのプロリーグに参加するという形だったが、今回の団体戦メンバーがその慣習を壊していった。
まずゴーズィ(日本戦のダブルスで勝利)。ジュニア時代から期待されていた選手だったが、彼はフランスリーグではなく、ブンデスリーガの「オクセンハウゼン」を拠点に練習と試合を重ねた。すでに10年以上もドイツの田舎町に住み、ドイツ人の奥さんと家庭をもっている。同じヨーロッパでも、フランス人は「ドイツに住むのは無理だ」と言う人が圧倒的に多い。食事や文化、民族性が違いすぎるからだ。しかし、ゴーズィは卓球が強くなるために「オクセンハウゼン」に移り住んだ。同じクラブに所属するブラジルのカルデラノは無二の親友だ。
そしてルブラン兄弟はINSEPのあるパリではなく、南フランスの「モンペリエ」のクラブを拠点にする。「チーム・ルブラン」として自由に練習をしたかったためだ。「モンペリエ」はフランスリーグの1部リーグだが、彼らはクラブとの契約の中にWTT(ワールド・テーブルテニス)の国際大会を優先する条項を組み込んでいる。
また、従来の練習方法やフィジカルトレーニングにとらわれない練習を積み重ね、今回のパリ五輪で結果を残した。失敗すれば「奇抜な練習」でも、結果を残せば「素晴らしく創造的な」練習と評価される。
めまぐるしく短時間で変えていく練習メニュー。体全体のコーディネーション(調整力)を重視するフィジカルトレーニングなどは、初めて見る日本選手は目を丸くする。
しかも、トップ選手は通常、練習相手を限定して行う人が圧倒的に多いのだが、この兄弟は相手が女子選手、粒高や表ソフトの選手でも喜んで練習や試合をすると聞く。
ルブラン兄弟は今回の五輪で、日本的な個人(プライベート)チームを作りながらも、まさに自由な発想で「日本超え」を果たした。
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