福島県南相馬市で行われている日本卓球リーグ・ビッグトーナメントは最終日を迎え、男子シングルスは丹羽孝希(スヴェンソンホールディングス)が初優勝、女子シングルスは昨年に続いて佐藤瞳(ミキハウス)が優勝し、2連覇を達成。世界選手権日本代表として招待枠で出場した両選手が実力を見せ、日本リーガーの挑戦を跳ね除けた。
◆男子シングルス準々決勝
丹羽孝希(スヴェンソンホールディングス)
−9、8、10、9 坂根翔太(関西卓球アカデミー)
山本勝也(リコー) -9、8、10、9 硴塚将人(協和キリン)
池田忠功(リコー) -7、9、5、6 酒井明日翔(シチズン時計)
横谷晟(愛知工業大) 7、-9、-10、6、13 上村慶哉(シチズン時計)
◆準決勝
丹羽孝希 -15、-4、7、7、12 山本勝也
池田忠功 11、6、-5、2 横谷晟
◆決勝
丹羽孝希 6,9,-4,9 池田忠功
最終日から登場の丹羽。初戦の相手は御内(シチズン時計)との壮絶な戦いを制した坂根。坂根のパワフルなプレーに1ゲーム目を落としたが、2ゲーム目以降は台上で先手を取り、坂根のドライブをカウンターで狙い打った。質の高いプレーを見せた丹羽は初戦を快勝。そのまま一気に優勝まで突き進むかと思われたが、続く準決勝で山本に大苦戦。
山本は、丹羽を上回るほどの早い打球点をとらえた両ハンド攻撃で2ゲームを先取する。特に光ったのがボールの外側をとらえて丹羽のフォア側に大きく曲がって入るバックドライブ。丹羽がノータッチで抜かれるシーンが続いた。
なんとか1ゲームを返した丹羽だが、4ゲーム目で3−6とリードを許し、再びピンチに。このゲームを驚異的な追い上げで奪い返したが、6オールから始まる最終ゲームも7−10と追い詰められる。「(マッチポイントを奪われて)あとがなくなってから相手のチキータに対応できた」という丹羽は、5度のマッチポイントをしのいで逆転勝ち。
動きがイマイチだと言う丹羽だが、台上やカウンターで格の違いを見せた
ベンチでの坂本コーチと丹羽。プライベートコーチとして初試合となった
丹羽を追い詰めた山本
決勝では青森山田高の1学年上にあたる池田と対戦。池田は松平(協和キリン)、酒井(シチズン時計)、横谷といった強豪を連破して勢いに乗っていたが、丹羽の精度の高いプレーに1ゲームを奪うのがやっとだった。
初優勝を決めた丹羽は、「3月のトップ32のあとに1カ月間の休養を経て、4月7日から練習をスタートしました。休んでいたので体も動かなくてフォアハンドのミスも多かったけれど、たくさんの方が来てくれて、ぼくの応援もたくさんしてくれたので、それは力になりました」とコメントした。
威力のある両ハンドドライブでブレイクした池田
日本代表の横谷は決勝進出ならず
◆女子シングルス準々決勝
佐藤瞳(ミキハウス) 7、8、3 森田彩音(デンソー)
塩見真希(サンリツ) 2、11、6 竹本朋世(十六銀行)
井絢乃(中国電力) 6、7、8 松平志穂(サンリツ)
牛嶋星羅(昭和電工マテリアルズ) -8、4、6、10 菅澤柚花里(デンソー)
●準決勝
佐藤瞳 8、11、-7、10 塩見真希
井絢乃 9、-5、11、6 牛嶋星羅
●決勝
佐藤瞳 6、3、-9、9 井絢乃
女子シングルスで優勝した佐藤も丹羽と同じく、最終日からの出場。東京でのNT合宿から福島入りし、今大会はベンチコーチの帯同はなく、ひとりでかけつけた。
佐藤は3試合を戦って落としたゲームは3つ。これまでよりもツッツキが攻撃的になり、高い打球点をとらえたカットを混ぜるなどプレーに進化のあとが見られた。「(苦しかった試合はという質問に)準決勝の塩見選手は、ついこの前までチームメイトだったのでやりにくさはありました。リードしていても追いつかれそうになるなど危ない場面もあったので、少し苦しかったです」(佐藤)。
プレーを改良中という佐藤。改良部分を聞くと「それは企業秘密です」
佐藤は昨年に続いての同大会の参加については次のように話した。「この時期は試合もあまりないですし、日本リーグの選手と普段やる機会もなかなかないので、良い機会にもなります。
また、今回は福島県での開催ということで、被災された地域でもあるので、そこに行って自分のプレーを見せることができればいいなという思いで参加を決めました。明日の地元の方との交流会にも参加します。なかなかない機会なので、こういうときに触れ合えたらと」
2位の井は攻撃型への強さは昨年の日本リーグの試合で実証済。今大会では苦手としているカット型の牛嶋を粘り強いプレーで下し、成長の跡を見せた。
まだまだ伸びている井。苦手のカット打破は自信になったはずだ
ミキハウスからサンリツに移籍した塩見が3位
表ソフトでのブツ切りバックカットとフォアでの攻撃が光った牛嶋
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