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インタビュー

「成績でしか評価されないジレンマ」「何がしたいの? 『卓球だよ』って」異能の男・西東輝は卓球をとことん“考える”

●アイデアが出てくるのは「卓球について考えている時間が多いから」

---やっていることを見ても、話を聞いてもアイデアマンだなって感じます。アイデアってポンポン浮かんでくるものなんですか?

 たぶん、アイデアは卓球について考えている時間の多さだと思います。本当に卓球のことしか考えていなくて。雅己の対戦相手の分析をする時も、映像を見れば見るだけ発見があるんです。どれだけ見るかって言ったら全日本で当たる相手だったら、その人の試合を30試合は見ていました。1人当たり20時間費やしたら、それで戦術はたくさん見えてきます。そこまで見るか見ないかだけの話だと思います。

 それと同じで、考えれば考えるだけアイデアは出てくる。だから、別にぼくに特別な能力があるとかではなくて、単純に卓球について考えている時間が長いからアイデアも多い。オンラインレッスンもやっていて、最初は身内のためにボランティアでやっていたんですけど、これ、仕事にできるんじゃないかと思って。コロナ禍ということで講習会なんかが難しい中で、おもしろいんじゃないかと思ったんですけど、やっぱり需要はありましたね。

 

---性格的に好奇心は強いタイプですよね。

 強いとは思います。でも、やり始めたら最後までやり抜く責任も持たないといけない。だから、何か始める時は自分ひとりでやるんじゃなくて、誰かと組んでやるようにします。そうすれば簡単には諦めないし、人のためと思ったら、妥協もできないじゃないですか。

 あとは自分のやったことに対しての反応が欲しいんですよ。見返りじゃなくて誰かからの反応。「うれしい」とか「ありがとう」みたいな。だから、店頭で直にお客さんと触れ合うのも好きで。ネット販売はそれがないから、おそらくこれからもやらないと思います。

 

---それもすごくわかります。リモートでの取材も増えたけど、理想は直接会って取材したいって思います。

 だから、講習会とかも「こんなところに来てくれないだろう」っていうところに必ず行きます。山形と鳥取には始発や終電の電車で10時間くらいかけて行きました。はっきり言えば、そんなに収入にはならないですよ。お土産を買って向かい、お土産を買って帰ったら残るものはわずかです。それよりも、よろこんでくれるのがうれしくて。仕事をするのは人によろこんでもらいたいからだし、自分の存在意義がわかる仕事って幸せです。それが原動力になってます。

 

---最近だと何か新しい取り組みってあります?

 妻(夕布)の実家は福岡県の髙森卓球場なんですけど、100人、200人を集めての交流大会をこれまで40回以上やっているんですよ。これはスゴいことだと思って。それで、大会を運営している妻のお父さん、お兄さんに運営の仕方を教えてもらって、石川でも交流大会を開催しました。たくさんクラブがある福岡で、長い間ずっと活動を続けていることって本当にスゴいんですよ。他にもいろんな部分で勉強させてもらっていますし、髙森家が身近にいてくれるのは本当に大きくて。今年の1月4日もその交流会にお邪魔しましたが、本当にすごい規模で、尚且つそれを髙森家の4人だけで運営している。衝撃でした。来年はぼくも参加予定です。次は進行のお手伝いをして力になれたらと思っています。

妻・夕布とは今年4月に結婚式を挙げたばかり

 

---奥様も指導者として経験豊富ですもんね。

 それもめちゃめちゃ大きい。同じものを見るにしても、やっぱりぼくと妻で見え方が違うので、それだけいろんな考え方ができる。突っ走りがちになるぼくをカバーしてくれる存在でもあるし、妻の存在は大きいです。

 

---最後になるんですが、目標をお願いします。

 石川を卓球で盛り上げたいんです。でも、どんな形でそれを実現するのかははっきりしていなくて。今はそれを決めるために、いろんな方面の事柄に触れながら考える「準備期間」。ただひとつ、石川の卓球界の中心になるものを作りたくて。それは大きな卓球場かもしれないし、イベントかもしれないし、プロチームなのかもしれない。石川を全国的な「卓球の県にする」、それが最終目標ですね。

 

---ありがとうございました。

 

【PROFILE】

西東輝(さいとう・あきら)

1992年1月9日生まれ。北海道出身。実践学園中から遊学館高へ進み、インターハイ学校対抗、高校選抜で3位。北陸大在籍時に全日学ダブルスで3位に入賞。その後、函大有斗高で卓球部を指導し、2017年より清水スポーツに勤務。清水スポーツの主宰する卓球クラブ、エンデバー・メイトでの指導、プライベートコーチとして吉田雅己(現・木下グループ)の2020・2021年全日本で2年連続3位入賞をサポートするなど、コーチとして幅広い層を指導。

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