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「変えて」強くなる 石川佳純「五輪に出たい一念で、 練習量を増やし、打ち方を変えた」

2010年世界選手権モスクワ大会で、涙を流す石川佳純

 

気持ちが変わり、

昔は「練習嫌い」だったのに、

今では「練習の虫」になっている

 

自分ですごく感じていたのは、基本技術が劣っているという点だった。課題は自分の中ではっきりしていたので、とにかくボールをたくさん打って基本力を上げることに努めた。小学生の時には、試合ばかりやっていたので基本練習をほとんどやったことがない。今さら「基本だ」といって取り組むのは、順番が他の選手と違うかもしれない。

順番は違うけど、自分の中では基本が足りないのは明白で、これを直せばもっと上に行けるかもしれないという思いがあった。だからこそ、良くても悪くてもやるしかない。迷いはなかった。ラリーを続ける練習をやったり、一つひとつの基本打法を練習していった。応用は試合の中でできるから、遠征に行っても、その基本練習はやり続けたし、今もやっている。今もまだ基本力が足りないと感じている。

基本練習をやり続けたことで、今まで打てなかったボールが打てるようになったり、入らなかったボールが入ったりする。それによって、今まで使えなかった戦術が使えるようになってきている。また、試合のラリーでも1本多く返せる、1本多く戻れるようになっているし、バックハンドを打った後のフォアの回り込みとか、連携動作が少しずつできるようになってきているのを感じる。

練習量を増やしたことや打ち方を変えたこと、基本力を上げようとしたことは、すべて「オリンピックに出たい」という気持ちがあったからこそできたのだと思う。昔は「練習嫌い」だったのに、今では「練習の虫」になっている。

今までは、練習をやっても、疲れたら終わり、という感じだったのが、モスクワ大会以後は、相当に練習しているという感覚がある。モスクワ大会の時には、今のままなら絶対上に追いつかないし、オリンピックには出られないというのがはっきりわかっていたために、「自分が強くなりたい!」という強い気持ちが沸き上がってきた。

毎日、練習の時に良い発見があったら変えていくようにする。「これがいい!」と思ったら、元に戻さないで、さらにその上を目指し、進化させていくことが大切だと感じている。

石川佳純[全日本チャンピオン]

平成22年度全日本選手権優勝。09年世界選手権女子シングルスベスト8。12年ロンドン五輪日本代表に内定。世界ランキング11位(11年8月現在)。全農所属

 

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