全日本社会人卓球選手権の女子シングルス決勝は、前日に女子ダブルスで初優勝を飾った成本綾海と井絢乃(ともに中国電力)の2人による対決になり、激しい打ち合いの末、井が成本を4−2で振り切り、うれしい初優勝。男子シングルスの大島祐哉と同様に、井もシングルスで初の全国タイトルとなった。
井にとって最も苦しかったのは4回戦の永尾尭子(サンリツ)との試合。過去の対戦成績は0勝2敗。どちらもフルゲームで敗れていた。今大会でも永尾に0−2とゲームをリードされ、2ゲームを返して迎えた最終ゲームで9オールに。「後悔するくらいならば思い切って攻めよう」(井)と強気で攻めたことでこの試合を物にすると、準々決勝までは快勝。
準決勝の野村萌(デンソー)、決勝の成本との試合はスコアは競り合っていたが、「落ち着いて考えながらプレーができていた」とメンタルが揺らぐことはなく、高い打球点からの両ハンドドライブで攻め続けた。
「シングルスの全国優勝は初めてですが、決勝はあまり優勝を考えずに1球1球をどう取るかを考えました。マッチポイントを握ってから守りに入ってしまって追い上げられましたが、最後は思い切ってプレーすることができました」と決勝を振り返った。
井は成本の緩急のあるプレーを正面から受け止めて、強力な両ハンドで跳ね返した
初の全国タイトルに笑顔の井
2位の成本は準々決勝で、同じ左利きで、戦型(フォア裏、バック表)も同じ出雲美空(サンリツ)に苦しんだが、それを乗り切ると準決勝では好調の玉石幸穂(エクセディ)を一蹴。決勝でも1ゲーム目を取ったが、3ゲーム目と6ゲーム目をジュースで落としたのが痛かった。
成本は2冠まであと一歩だった
3位には、しゃがみ込みサービスから安定感のある両ハンドドライブで勝ち上がった玉石と、2大会前の王者である野村萌(デンソー)が入った。
しゃがみ込みサービスからの攻撃が光った玉石
2度目の優勝を目指した野村は井とハイレベルなラリーを見せた
■女子シングルス準々決勝
玉石幸穂(エクセディ) 8、5、10、6 田口瑛美子(昭和電工マテリアルズ)
成本綾海(中国電力) 13、-12、-9、6、3、9 出雲美空(サンリツ)
井絢乃(中国電力) 8、6、6、7 森田彩音(デンソー)
野村萌(デンソー) -7、-9、4、6、10、4 三村優果(サンリツ)
■準決勝
成本綾海 4、2、5、8 玉石幸穂
井絢乃 4、-6、6、-5、9、-9、3 野村萌
■決勝
井絢乃 -7、3、13、-5、2、10 成本綾海
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