【ラージは「メンタルが7割」】
---決勝の相手はカットマンだったけど、今まであんまり池田くんがカットマンと対戦してる印象がなくて。
池田:(カットマンとの対戦は)全国では初めてでした。もともとカット打ちが苦手なんですよ。組み合わせを見る時もカットマンがいないか探すくらい。今回も(トーナメントの)近い場所にカットマンはいなかったんですけど、ぼくの知らない選手もいるし、気を抜かずに「カットと当たるかも」と思って練習も準備もしてました。そうしたら結果的に決勝の相手がカットマンで。今までだったら「うわ、カットか」ってなっていたかもしれないけど、ちゃんと準備していたから気持ち的には楽でした。
---前回優勝した3年前からプレーで変わった部分はある?
池田:プレーはどうでしょうね。でも、普段から硬式で強い選手とやることが増えて、必然的に卓球自体の技術レベルが上がったので、それをラージにも転用できているのかなとは思っています。硬式も練習量はそんなに多くないけど、周りから「強くなってる」って言われたりもして、硬式のレベルアップがラージにもつながっているのかなと。
あとはラージは技術よりもメンタルだと思っていて、そこをどれだけ整えられるか。気持ち的にはメンタル7割、フィジカル2割、技術1割。それくらいの気持ちで準備してますね。
---全日本ラージは決勝トーナメントに入ったら、休む暇もなくずっと連戦だもんね。
池田:試合がずーっと続いて体もキツいし、強い選手が決勝トーナメントの一発目で負けることもよくあるので、勝ちにいく卓球じゃなくて、負けない卓球をしないとダメですね。負けない卓球ができるだけの技術、体、メンタルを作り上げて、一方で向かっていく姿勢は出すというか。
---メンタル的な部分で意識しているポイントはどんなところ?
池田:いろいろあるんですけど、まずは「我慢」。それが一番大事だと思います。強く打ちたくなっちゃうんですよね、どうしても。だけど、練習ではできても、試合だとできないっていうのがわかっているので我慢。練習も普段練習する場所と大きな試合会場ではボールの飛び方だったり、感覚も変わるので、試合会場の感覚を想定してやったほうがいい。練習だと、ぼくもちょろちょろ負けたりするんですけど、本番では負けない。それはメンタル的な部分が大きいのかなと思います。
---ちょっと話が戻るけど、練習量も多くない中で硬式のレベルが上がったっていうのはどういうこと?
池田:一番大きいのは、周りのレベルが上がったことだと思います。大学まで北海道でやっていたけど、北海道って地理的な理由があって、道外の選手と全国大会以外で試合をすることがほとんどないんですよ。それが関東近辺だと強い人がたくさんいるじゃないですか。YouTubeをやっていたことで、強い選手と関わらせてもらう機会も増えたし、試合に出て経験値を積むことができて。これもメンタル的な話ですけど、そうやって強い選手と試合をしていくことで「どうせ勝てないよ」っていう気持ちが崩されていくというか。技術がレベルアップしたのもあるけど、そうやって強い選手と対戦して経験値を積んだことが、少ない練習量でも強くなっている要因なのかなと思います。
そういうことがわかってきたからこそ、ぼくの経験をどうにかして北海道にも還元していきたいと思ってるんですよ。やっぱり北海道が好きだし、唯一無二の独特な場所だと思うので。
---ラバーについては自分で開発したものだけど、今のラケット(『ハイブリッドACインサイド』)を選んだポイントは?
池田:特殊素材ラケットだけど、インナーでそんなに飛ばないラケットです。ラージの用具って、弾むラケットと弾むラバーで「飛ばす」っていうイメージがあると思うんですけど、ぼくは昔から弾むラケットが好きじゃないんですよ。試合での負け方って、ミスして負けるのがほとんどだなって思っていて。だったら、ラバーはできるだけ弾んで打球感が良いものにして、ラケットは弾みは控えめのものでバランスを取るようにしている。弾むラケットは練習では気持ち良く打てるけど、試合で勝つことを前提に考えたらこの組み合わせですね。練習でどれだけ気持ち良く打てても、試合で勝てないんじゃ意味がないですから。
---当然、ラバーについても不満はない?
池田:そうですね、現状はラケット、ラバーとも不満は何もないです。やっぱり、監修したラバー(『リンフォート パワー』『リンフォート スピン』)は一度は手に取って、試してみてほしいなと。我が子のような存在ですし、妥協なく作ったものなので。
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