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中国リポート

東洋のハワイが生んだ「樊振東2世」、林詩棟の潜在能力ー後編

林詩棟が生まれたのは、第48回世界卓球選手権(個人戦)・上海大会を間近に控えた2005年4月18日。出身地は海南省三亜市で、「東洋のハワイ」として中国国内で絶大な人気を誇る海南省(海南島)の南端にあり、高級なリゾートホテルが立ち並ぶ海沿いの街。飲食店を経営する母親は忙しく、卓球が趣味だった父親と一緒に小さい頃から卓球場に行くようになったという。

マイラケットを初めて買ってもらったのは4歳の時。「『(ラケットは)買わないよ』と言ったら、その場に座り込んで泣き始めたから、泣き止ませるためにラケットを買ってあげたんです」。母・王海燕さんのコメントが、地元紙の『三亜日報』で紹介されている。

WTTコンテンダー アンマンの表彰での林詩棟。卓球好きの父親の影響でラケットを握るようになった(写真提供:WTT)

7歳の時から三亜南燕卓球倶楽部で本格的に卓球を始め、練習熱心でボールセンスも優れていたことから、河北省正定市の国家卓球訓練基地での強化訓練にも参加。2015年4月に海南省卓球チームがわずか7名で設立された時、10歳の林詩棟はチームの最年少メンバーとなった。翌年には全中国選手権に11歳で出場し、最年少出場の記録を作っている。

2018年には全国少年選手権(U-13)の南方賽区で優勝し、ユースの中国代表として国際大会にも出場するようになった林詩棟。ひとつの転機になったのは、2020年8月に海南省陵水市で国家チームが行った集合訓練。地元のホープだった林詩棟は2カ月に渡って集合訓練に帯同し、さらに力をつけた。同年12月の全中国青年選手権を15歳で制し、晴れて国家2軍チーム入り。海南省出身の選手が国家チームに入るのは初めてのことだ。2021年5月の『直通WTT大満貫・世界選手権』エキシビションマッチでは、16歳ながら許シンを破る金星を挙げて話題を集めている。

国家チームでの林詩棟の担当コーチは、ジュニア育成に優れた手腕を発揮してきた陳振江。これから28年ロサンゼルス五輪に向けて、さらに力を蓄えていくだろう。左シェークドライブ型の蒯曼と組んだ混合ダブルスは、国際大会で5大会連続優勝中で、混合ダブルスがあるオリンピックの代表入りに向けてひとつのアピールポイントになる。

WTTコンテンダー アンマンで5大会連続優勝を果たした林詩棟/蒯曼(写真提供:WTT)

コートで放つ両ハンドドライブの威力は増すばかりだが、実家に帰省すれば8歳年下の妹の面倒をよく見る、温厚なお兄さんだという林詩棟。今後の国際大会での活躍から目が離せない。

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