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世界6位・モーレゴード、8位の林昀儒がブンデスリーガ出場停止と罰金。クラブ「ノイ・ウルム」の策略か!?

「ノイ・ウルム」が2選手を1月8日の
ドイツカップに起用したことで「問題発生」

ドイツ・ブンデスリーガ1部リーグを運営するTTBL(男子1部リーグ)が、「ノイ・ウルム」に所属する世界ランキング6位のモーレゴード(スウェーデン)と同8位の林昀儒(チャイニーズタイペイ)の2選手に対し「10試合の出場停止と1万ユーロ(約140万円)の罰金を科す」と発表した。モーレゴードへの制裁は2月10日、林昀儒に対しては2月16日に発表している。

選手のリーグ登録からの退出、変更は1月1日が締め切りだった。そして、1月8日にドイツカップの決勝があり、そこで「ノイ・ウルム」はオフチャロフ、林昀儒、モーレゴードのメンバーで優勝している。その後、1月31日にはモーレゴードはスウェーデンリーグの「エスロブ」で、林昀儒はTリーグの木下マイスター東京で2月11日に試合をしている。
1月8日に2選手がドイツカップに出場しているので、後期の登録を継続のままプレーしたことになる。ところが、2選手は登録の抹消も終わっているので他国のリーグ(スウェーデンと日本)のリーグに出場可能だと思っていたし、クラブからそう伝えられていた。

「ノイ・ウルム」は今シーズン、2つの布陣を敷いていた。ひとつはブンデスリーガ用に、ロシア人のカツマン、グレブネフ、シドレンコの布陣。
もうひとつは、ドイツカップとヨーロッパチャンピオンズリーグ(ECL)用にオフチャロフ(ドイツ)、林昀儒(タイペイ)、モーレゴード(スウェーデン)、張本智和(日本)のスターチームの布陣だ。

ドイツの卓球組織を簡単に説明しよう。

ドイツ卓球連盟(DTTB)には全クラブ9300チームが加盟しており、そのクラブに所属し登録している選手は約59万人。ドイツでは連盟に登録していないと試合に出る機会がないために卓球選手はほぼ全員登録しなければならない。
そのドイツ卓球連盟の傘下に、ドイツリーグがある。男子は1部のTTBLを頂点に12部まであり、女子は9部までのピラミッド形になっている。男子1部リーグはTTBL管轄になっている。1部と2部リーグのチームでトーナメント方式で争う「ドイツカップ」はドイツ卓球連盟とTTBLが管理している。

ヨーロッパの中でドイツとフランスはルールとして、他の国のリーグとの重複した登録は認めていない。ただし、ブンデスリーガでは12月までの前期と、それ以降の後期で選手の変更や退出を認めているので、登録からの退出を申請すれば、前半戦はブンデスリーガに出て、1月以降の後半戦をTリーグで戦うこともできる。ドイツのメディアは、ドイツカップ後に選手の登録抹消を「ノイ・ウルム」が言ってきたが、TTBLは1月1日の締切が終わっていたので、それを受理しなかったと報道している。

世界ランキング8位の林昀儒(チャイニーズタイペイ)は日本のTリーグの木下マイスター東京でプレー

 

世界ランキング6位のモーレゴード(スウェーデン)はドイツカップのあと、スウェーデンリーグの「エスロブ」でプレーしている

「ノイ・ウルム」はミスをおかしたのではなく
確信犯かもしれない

ドイツカップ終了後に、選手(クラブ)はTTBLの登録のキャンセルを求めたが、リーグ側がそれを拒否。チームが2選手が他リーグでプレーすることを知っていて、ドイツカップに出場させたとすれば、その場合は、TTBLは何かしらの制裁を「ノイ・ウルム」に与えることを検討。チームも来シーズンは自ら2部リーグでプレーすることを考えている。

現在準決勝を行っているECL(ヨーロッパチャンピオンズリーグ)はETTU(ヨーロッパ卓球連合)管轄の大会なので、「ノイ・ウルム」はドイツカップの布陣に張本を加えたメンバーで臨むと予想される。張本はTリーグでプレーしているが、ECLのみの出場なので、ブンデスリーガへの登録はしていない。

今回の問題は、ブンデスリーガと他国リーグの二重登録の問題だが、それをすり抜けよう、もしくは確信犯的に使った「ノイ・ウルム」のやり方だった。一見すると選手側がだまされ、クラブ側が悪用して選手に被害を与えたようにも見えるが、選手サイドからは「クラブが罰金を払うと聞いている」という声も聞こえてくるし、そもそもモーレゴードや林昀儒は、ドイツカップやECL以外のブンデスリーガに参戦する気持ちはあまり持っていなかったようだ(一応、前半戦で2、3試合だけに出場している)。
「ノイ・ウルム」の代表、フロリアン・エブナーは「ブンデスリーガにフル参戦しない、自分のホームクラブ(モーレゴードの「エスロブ」のことを指している)でのプレーを彼らは望んでいた」とメディアに語り、ブンデスリーガのクラブの代表がTTBLの理事や代表(「ボルシア・デュッセルドルフ」の代表のアンドレアス・プレウス)を兼ねていることや、その中立性に疑問を呈している。

「ノイ・ウルム」が全面的に今回の違反行為に関与したとなれば、2部への降格やTTBLからの追放すべきという声もあがっている。このケースではどう考えても選手はクラブの指示で動いているし、ブンデスリーガからの制裁を受けるという後味の悪さを持ったとしたら、選手二人にとっては迷惑な話だ。 (今野)

 

 

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