<卓球王国2022年10月号より>
2019年世界卓球3位の男が手にする
3つのパワーの共演
ありそうでなかった3種類の特殊繊維のミックス。カーボン、アクシリウム、ゼフィリウムを1枚のシートに織り込んだ「TMX」(トライメトリックス)を搭載したラケットとして、そして韓国のホープ・安宰賢(アン・ジェヒョン)の使用モデルとして開発された『アン・ジェヒョン TMX i』が、今春XIOMからリリースされた。
アクシリウムがしなやかさとボールの伸びを演出、ゼフィリウムが正確性とクリアな打球感を生み、カーボンが反発力を増強。同社の『アイスクリーム AZX i』では、片面にアクシリウムカーボン、もう片面にゼフィリウムカーボンを搭載し、両面での打球感の違いを生み出したが、新作『アン・ジェヒョン TMX i』では、3素材の長所をかけ合わせるべく開発された。
XIOM日本販売元・卓永の鶴高寿さんに開発の経緯を聞いた。「素材の配合や織り込み方を試行錯誤しました。スピードとスイートエリアの広さという、特殊素材に求められる基本要素に加え、振動を抑えながら、回転をかけやすくしつつ飛ぶという、“良いとこ取り”を目指して完成しました」(鶴さん)。
配合比については企業秘密となるが、カーボンをやや多めにして、弾みを重視したという。そしてTMXをインナーに配置。板厚は標準よりわずかに厚めで、ブレードサイズも少し大きく、全体的にパワーモデルの設計だ。ただしガチガチな高反発ではなく、ドライブ型の中・上級者の多くが好む弾み具合となっている。表面がやや硬めの『ウーゴ ハイパーアクシリウム』よりは球持ちが良く、また万能タイプの『36.5 ALX i』よりはパワーヒッター向けの味付けだ。
編集部で試打したところ、重量感はそこまで感じず、インナーとしては硬めの打球感。フルスイング時には破壊力ある打球となった一方で、対下回転ドライブではインナーならではの回転のかけやすさもあった。誰でも扱いやすいタイプではないが、パワーヒッターには最適だろう。
斬新だが、絶妙なバランス。パワフルだが、暴れ馬ではない。このブレードの新感覚を確かめてもらいたい。
XIOM
●攻撃用シェークラケット
●¥22,000(税込)
●木材5枚+TMX2枚 ●グリップ:FL・ST
●板厚:5.9㎜ ●ブレードサイズ:158×152㎜
●平均重量:88g
●㈱卓永 03・6206・0995
photo >> Yoshinori Eto
text >> Hiromoto Takabe
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