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最強ジュン・ミマ対談アーカイブ「我ら五輪延期にも動じず」

「オリンピックと世界選手権と

ワールドカップでの優勝。

いわゆる大満貫ですね」〈隼〉

「隼も30で、頑張ってるね(笑)。

本当にすごいと思う」〈美誠〉

 

●─隼が引退した後に何をやってほしいとか、美誠ちゃんの希望はある?

美誠 考えたこともないですね。監督やコーチとか絶対しないだろうな。卓球に関係するなら講習会とかイベントとかでプレーを見せてるのかな。隼は卓球とゲームだけしてるイメージしかないから。

 そんなにゲームしてないよ。

美誠 してます。最近は見てないけど、前は携帯触ってると、携帯が横になっていた(笑)。しかも、ピコピコしてた。絶対ゲームしてるし、対戦するのが好きそうだから。引退後、何をするのかな。ちょっと怪しい(笑)。

 監督とコーチはないですね。

美誠 教えるのは絶対なさそう。教えてもいいけど、隼のような感覚を持っている選手はなかなかいないのですごく難しい。やさしく教えると思うけど、隼についていけないと思う。

 

●─それは美誠ちゃんも一緒だよね。

美誠 私は教えるのが結構好きなんですよ。選手にアドバイスすることもあるし、結構男子選手にもアドバイスします。教えるの好きです。アドバイスしていても楽しいです。

 

●─隼はチキータが下手だからアドバイスしたら?(笑)

美誠 そうですね(笑)。でも、最近、隼、チキータを練習してるんですよ。

 今(チキータ)いいんですよ。今までは遠慮してたんですよ、ミスったら怒られるから。

美誠 怒ったことはないです(笑)。

 

●─隼は美誠ちゃんがこれからどんな選手になってほしいと思うのかな?

 オリンピックと世界選手権とワールドカップでの優勝。いわゆる大満貫ですね。それは今までの日本選手でいないから。その中でもオリンピックは特別な舞台で、そこでの優勝ですね。あと10年はやるだろうから、あと3回くらい、東京、パリ、その後1回くらいはオリンピックに出るだろうし、歳を重ねれば重ねるほど難しくなる。

美誠 隼も30(歳)で、頑張ってるね(笑)。本当にすごいと思う。30代の選手は多くなっているけど、中でも隼はすごいですね。

 

●─日本は3月の時点でも、新型コロナウイルスのせいで思うように練習できないし、これから大会もどうなるかわからない状況ですが、日本の卓球ファンにメッセージをお願いします。

美誠 外に出られない状態だと思うけど、たまに外の空気を吸うのも大事。友だちと会うことも大事だと思う。人混みに行くのは避けるにしても、マスクをして友だちと話をしたり、散歩したり。体を動かすことは大事なので、家の中で、自分のやっている部活や好きなスポーツに関係する運動やストレッチなどをやりましょう。

 新型コロナウイルスで練習もほとんどできていない状態だけど、今が大事だと思う。家で卓球の動画を見たり、トレーニングをして家で過ごして、次にチームメイトと会う時にはびっくりさせられるように自分を高めましょう。

「おれはいつも

『構えて、前に出る』。

前後動だけをしてるんだよね」〈隼〉

「それ、ビックリ」〈美誠〉

 

●─二人が対談するのは初めてだったんだね。

 全然してくれない。

美誠 囲みの取材は二人ではあるけれど、ちゃんと座ってやるのはなかった。今日は本当に楽しかったです。普段は言い合ってるけど、初めての感覚ですね。

 美誠は大人になったなと思いましたね。

美誠 今年20歳ですから(笑)。隼は見た目も4年前くらいとはそんなに変わっていない。ただ、隼の練習見てて、体の疲れ具合は全然違うと思います(笑)。でも、頑張ってる、頑張ってる。ついてきてる(笑)。

 ついていけない。練習が長すぎて。美誠、ひとつ文句言っていい? ミックスの練習をする時、美誠のサービスとレシーブからの練習だと、相手の返球が入ってこないから、おれはいつも「構えて、前に出る」。前後動だけをしてるんだよね。

美誠 それ、ビックリ。

 ひとりで練習やればいいのに(笑)。

美誠 なにそれ!  でも、左の選手は前後に動きますよね。私はいつも台の真ん中にいるから感じない。でも、前後が大変だと言われたのはホントにビックリ。

 普通、ダブルスは左右に動くのに、美誠とやると前後が大変。それを言いたかった(笑)。

 

●─同じ豊スポからペアで五輪メダリストが誕生したらすごいだろうね。

美誠 ミックスを組むこともビックリですよね。

 

●─言い足りないことは、あとでまたじっくりしゃべってね。

美誠 大丈夫。もやもやがスッキリしました(笑)。明日もミックスの練習があるから、隼は前後動しますよ(笑)。隼も動くんだけど、後半もたないんですよ。

 最初の30分と後半の30分は全然違う。とにかく美誠の練習が長いんですよ。チョー長いんですよ。1時間半とかぶっ続けでやるんです。

美誠 (早田)ひなと組んだ時には2時間くらい組んで練習してました。わかりますよ、隼が疲れるのは。でも、昨日とかも、「大丈夫?」と聞いたら、「もう少しだけレシーブを変えてやろうか」と言うから、「隼のほうがやる気あるじゃん」と思った。

 それって、おれがサービスかレシーブだから、前後動しない時なんだよ(笑)。美誠がサービス、レシーブの時には、おれ3倍くらい疲れるんだよ。

美誠 あはは!(笑)そういうことね。

 相手からボールが返ってこないのに、おれは前後にだけ動いている(笑)。足の疲労がやばい。美誠のサービス、レシーブの時に相手が返せない。それにネットインするとそれが続く。

美誠 一度ネットインすると、それが5本か6本続く。

 めっちゃいいサービスなんだけど、おれはそのたびに前後に動いている(笑)。途中からおれは構えなくなるけど。

 

●─楽しい対談ありがとうございました。

 最後に言えて良かった(笑)。

◇◇◇◇

30歳の水谷と19歳の伊藤。二人は兄妹のようにも、近所の幼馴染のようにも見える。二人もこちらも、とても楽しみにしていた対談はあっという間に終わった。世界のトップ選手同士の凄さを散りばめながら、マシンガントークの伊藤と、受けて立つ水谷の軽妙な掛け合い。

「ご近所さん」だった二人が五輪の混合ダブルスを組むという偶然。しかも、このダブルスは日本の卓球史上初の金メダル獲得の可能性を秘めている。

来年の五輪までさらにこのペアが成長し、力をつけていけば、とんでもない「モンスターペア」が完成し、メインポールに日の丸を揚げるかもしれない。それが日本の卓球ファンへの最上の贈り物になるだろう。

(文中敬称略)■

 

「消極的な時は点数が取れない。

『ミスするかもしれないけど、

思い切っていくね』

という時のほうが良い形になります」〈隼〉

「私はミックスがめちゃくちゃ楽しい。

隼も楽しそうにやっている時には

『おおー!』と思います」〈美誠〉

 

 

 水谷隼 ■ みずたにじゅん

1989年6月9日生まれ、静岡県出身。2016年リオ五輪単銅メダル、団体銀メダル獲得。世界選手権で7個のメダル獲得。全日本選手権は10度優勝。世界ランキング15位(2020年3月現在)

 

伊藤美誠 ■ いとうみま

2000年10月21日生まれ、静岡県出身。2016年リオ五輪団体銅メダル、世界選手権で4個のメダル獲得。全日本選手権では三冠2連覇。世界ランキング3位(2020年3月現在)

 

 

★2人が表紙を飾った2020年6月号★

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