「目指せ、100台!!」
これ、なんのこっちゃ?
これは神戸のある一人の卓球ショップオーナーが所有、またはコンサル契約して運営をしている卓球場の卓球台の数である。すでに87台の運営に関わっているのだ。
●TTSタカハシ垂水TTスタジオ/16台
●甲南TTスタジオ/8台
●TTSタカハシ姫路店(姫路TTスタジオ)/5台
●姫路第二卓球場/5台
●ひめたん卓球場/16台(業務提携)
●TTSタカハシ伊丹TTスタジオ/5台
●メトロTTスタジオ/7台
●メトロ卓球場/13台(業務提携)
●くにづかタック/12台(業務提携)
9カ所の卓球場で合計87台。100台に到達するのは時間の問題だろう。
世の中、デジタルの時代。
気がつけば、奮闘する店舗型卓球ショップとは別に、ネットショップでの買い物も日常化されているし、人を介さずにスマホのみで卓球大会に参加したり、運営される便利な時代になっている。都心では24時間営業の無人型卓球場も登場している。
そんな時に、「やっぱり最後に残るのはアナログですよ!」と声高に強調するのが神戸に本店を置くTTSタカハシの代表である高橋清之(きよし)だ。
24歳の時に卓球ショップを神戸の地下街で始めたが、翌年に阪神・淡路大震災が発生した。
「お店が地下だったので水道管が破裂して水浸しになって半年間使えなかったんですわ。メーカーからいただいたものを売るわけにはいかないので、被災者に用具を配り歩いていました。半年間は収入なし。半年後に再開する時でも商品を売るというよりもお店は情報交換の場になっていて、その後、お店が動き始めた。街の復興は早かったですね」と高橋は振り返る。
当時の卓球ショップは10坪(33平方メートル)あまりで、店のすぐそばのメトロ卓球場を借りて、第1号の卓球場をスタートさせた。
実は、TTSタカハシはインターネット販売の先駆けだったが、家賃、人件費などの固定費を計算したうえで深入りすることをやめた。
その後、次々と卓球場を増やしていったが、早い段階で会社の形としては利益を出すのは不可能に近いと高橋は気づいた。卓球場は個人がやれば良いけれど、社員を雇って経営するのは難しい。卓球場で全国展開をするのは不可能だと考えた。
「その地域での歴史がないと卓球場は難しいですね」。
気心の知れた人がお客さんとして来て、卓球ショップが情報の中心となり、卓球大会をやって、人とつながりができてから次々に卓球場を出していくやり方だった。
特に16台を揃える「TTSタカハシ垂水TTスタジオ」や「ひめたん卓球場」などでも、毎週のように大会を開催し、高橋自らマイクを握り、大会を仕切っている。あくまでもアナログでリアルなイベントにこだわる。卓球場に来た人を無理にお店に誘導していることも全くない。大会も収支トントンで、参加者が喜んでいるのを見るのが楽しいと高橋は言う。参加者が別のネットショップで買い物しようが気にしない。
そんな損得勘定がないからこそ、卓球を楽しんだ人は「ほなら、タカハシくんのところでラバーを買おうか」となる。卓球人の「情」である。
「時代の流れでお店からネットに流れるのはしょうがない。でも人間の情があるから、人間関係でお店に来てもらうしかない。ネットにお客が流れたと思うと商売はやっていけないし、気にしていたら何もできない。卓球のお店をやったというのは、利益はもちろんだけど、卓球をやっている人とのふれあいが楽しいから始めたので、今もそれは変わりません」と高橋は語る。
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