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ドイツ卓球協会とITTF、「対立」から「協力」へ。来年ドイツでWTTチャンピオン開催か

卓球関係者でさえ、ITTF(国際卓球連盟)、WTTとドイツ卓球協会が「もめていた」ことを忘れていたかもしれない。
ことの発端は2020年5月にITTFカリル・アル−モハンナディ会長代理(カタール)とペトラ・ソーリング(スウェーデン)当時副会長が、トーマス・バイカート会長を批判する書簡を各協会に送ったことだ。
そして2020年11月にはバイカートITTF会長の支持母体とも言えるドイツ卓球協会は11月18日に、長文のレターを全協会に送り、「WTTの資金の不透明化、ごく一部のITTFの人(特にシンガポールにいるITTF職員)によって進められようとしていることを指摘し、伝統ある国際トーナメント(たとえばドイツオープンやジャパンオープン)がなくなったり、もしくは価値の低いものになり、オリンピックや世界選手権など、各協会が政府関係などからの補助金を受ける対象となる大会の価値が低くなることに強い懸念」を訴えた。また、「ITTFのCEOは、ITTF内の決定者として、またWTTディレクターとしての彼の職務においても、ITTF会長の意図と助言に反して行動し、行動しているようだ」と書いている。つまり、バイカートITTF会長(当時)の意に反して、ITTFのステファン・デイントンCEOがWTTを促進していることにを名指しで批判。
2021年3月のITTF執行委員会では、ドイツ卓球協会に懲戒を与えることを通達した。

その後、アル−モハンナディ会長代理に不適切な行為があったと、バイカート会長は21年2月23日に会長代理職の解任を通知。ところが、ITTFの3月の執行委員会では・アル−モハンナディ会長代理を復帰させることに過半数のメンバーが賛成し、それをバイカート会長がスポーツ裁判所に訴えるという、泥沼状態に陥った。ところが、21年9月のITTF会長選ではバイカート氏は立候補せずに、新たな会長にソーリング氏が就任した。

そして昨年12月にドイツ卓球協会の新会長になったクラウディア・ヘアヴェグ氏は、それまでITTFの用具委員会のリーダをやっていた人で、そもそもITTFとの距離も近く、今回、ドイツ卓球協会とITTF、WTTは「対立」は解決して、今後は協力関係を保ち、国際イベントを開催していくと共同で声明を発表した。

ドイツ卓球協会のヘアヴェグ会長は「来年2023年にWTTチャンピオンのイベント、いくつかのWTTフィーダーをドイツで開催することを目指します」と語り、ITTFとの関係が修復し、WTTと協力してイベント開催を行うことを公表した。
またITTFのCEOで、WTTのディレクターであるデイントン氏は「パートナーシップと協力がすべてです。WTTチャンピオンや他のイベントをドイツで開催するための話し合いは大きな前進です。ドイツ卓球協会と協力しWTTチャンピオンを主催し、成功を収めたい」とコメント。
ソーリングITTF会長も「ドイツ卓球協会は何十年にもわたって ITTF の重要なパートナーであり、将来に向けて協力を再開できることをうれしく思います。ドイツは長い伝統を持つ協会で、スポーツのプレゼンテーションを改善するために常に取り組んできました。私たちは一緒に卓球をより発展させると確信しており、ドイツで開催されるイベントが今から楽しみです」と語った。

 

ヨーロッパの中でドイツは常にプロリーグ、卓球市場、世界イベントの開催でも中心となっている。他の国(協会)でWTTイベントが開催されている状況で、和解する形で一件落着となった。
コロナ後を見据えて日本での世界イベントはどうなるのだろう。以前、宮﨑専務理事へのインタビューでは「来年、秋に向けて、体制が整えば、加盟団体(開催地)、テレビ東京、WTTジャパンと一緒になってキックオフミーティングを行いたい」と語っている。
世界選手権は2014年以降、日本では開催されていない。日本の中での卓球のプレゼンス(存在感)は2012年ロンドン五輪以降、高まっている。次は世界イベントという形で世界の中での日本のプレゼンスを高めていくことに期待したい。

 

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