世界との技術レベルや様々な標準(練習環境、用具、国際大会、選手の言動等々)から大きく離れている中南米卓球界の選手には強化する環境が厳しい状況に有ります。しかしながら、選手個人々々は現状の中でそれなりに懸命な努力をしています。
日本・中国等のアジア諸国、ドイツ・フランス・欧州諸国等の卓球先進国との大きな違いは、強くなればスポンサーが付き、世界ランキングのポイントが優先する国際大会に参加したり等が挙げられます。残念ながら中南米諸国卓球連盟の台所事情は非常に厳しく、サッカーに重点を置くあまり卓球に配分される予算が少なく、その運営は選手強化に十分な資金が回りません。
社会的環境にも大きな差があります。今でこそ日本の卓球選手は強くなれば優遇される環境にありますが、40年以上前の日本でも現在の中南米諸国に似ていました。ある年令迄情熱をもって活動していても「卓球では生活できない」「夢や希望が持てない」と良く聞きます。日本と違って選手達は各地域のクラブに所属し、クラブの運営が優先されるため選手への強化資金が十分にありません。大学に入って練習する時間が少なくなり、生活のための仕事、友達との友好関係にも心が揺れ、それまで集中して取り組んだ卓球活動から興味が薄れてしまう現実があります。同じスポーツ選手でもサッカーが盛んで、プロもあり、上手に成れば生活が安定する等の夢もあります。使われる予算や報道・記事等社会的にも卓球とは扱われ方が違うことも影響しているのでしょう。
最近では年少に力を入れ出し、早いうちに強くなって18才までに子供との夢を託したい親が多くなってきました。南米大会では数年前から11才、13才以下の大会が行われ、南米の一部では9才以下の種目も定常化してきました。
日本の女子13才ペアーが一般のITTFプロツアーでお姉さん達を撃破し連覇した事にも驚きましたが、中南米ではせめて18才以降の選手強化が難しいのであれば、この年代層に力を入れたい気持ちは痛いほど理解できます。
パナマ駐在時代の仲間(現パナマ卓球協会会長)から携帯のビデオを見せて貰いました。10才のパナマ選手がITTFの中国強化合宿に招待され、現地指導陣から「将来ラテン・アメリカでチャンピオンに成り、世界でも活躍出来る素質がある」と太鼓判を押されたと嬉しそうに話していました。
中南米どこの国でも良いので世界に飛躍する選手が出てくることを望んでいます。チリでもこの様な選手と巡り合える機会があれば楽しみですが!
ツイート