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全日本卓球2021

遅咲きのTリーガー・英田理志、力をつけて全日本に挑戦

「いつもなら試合前に100回はトイレに行ってるんですが、今回は1回しか行ってません。落ち着いてできました。あ、すみません100回は盛りました・・・10回くらいです」と1回戦の勝利後に余裕すらみせた英田理志。

現在、27歳の英田は、朝日大を卒業後に実業団の信号器材に入社。その後、会社を辞めて単身スウェーデンに渡り、3シーズン戦った。2019-2020シーズンは17勝2敗の好成績で、最多勝を獲得。その活躍を買われ、今シーズンからTリーグのT.T彩たまからスカウトされた、まさに逆輸入の遅咲きTリーガーだ。

Tリーグでは現在、4勝をあげるチームの戦力。日本でプレーするプロ選手へと環境が変わってから初の全日本の心境を聞いた。

「例年に比べて、すごく落ち着いてます。全日本は大学1年の時に初めて出て、今年で10回目だから慣れたのかな。無観客なので、静寂でボールの音が聞こえる。その静けさが案外落ち着かせてくれているかもしれません。

戦型は裏裏のカットマンだが、カットと攻撃は半々

Tリーグに入って、力はついているとみんなに言われます。27歳でも強くなっている実感はあります。今まで、ぼくは自分がエースのチームにしかいなかった。朝日大でも信号器材でもスウェーデンでも、単複出て当たり前。でも卓球人生で初めて自分が出られる、出られないの当落線上にいるレベルのチームでやっていることは大きいと思います。それはすごくありがたいですね。今は本当に練習が楽しいです」(英田)

人生で初の環境に、まだまだ強くなれるというワクワクな気持ちになった英田。

一方で、そんな環境のせいか、少しだけ今回の全日本の前に落ち込むことがあったという。

「今年は1月3日から練習はスタートしました。毎日ゲーム練習をやるんですが、毎日ボコられます。やってもやっても1ゲームも取れないくらい、(松平)健太さん、上田(仁)さん、ジンタク(神巧也)に本当にボコられました。そりゃー落ち込むくらい、全く勝てない。だから全日本もやばいなと思ってたんです」

カット打ちの名手たちに囲まれた絶望的な状況で、英田は「カットマンキラー」を攻略するために、毎日頭をひねる。その作業がたまらなく楽しいという。

スイングスピードが上がり、決定率が上がったフォア

 

「負けても、ボコられても、次は勝ってやろうと思える自分がいます。だから毎日楽しいんです」

10年目の慣れもあるかもしれない。しかし、それ以上に気持ちに楽しむ余裕が生まれたことで、誰もが緊張する全日本で落ち着いてプレーができているのだろう。

●男子シングルス1回戦

英田理志(愛媛県競体) 4、7、5 内田拓光(大正大)

 

ベンチでは元世界3位の高島規郎氏がサポート

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