全日本選手権では毎年、この大会を現役最後の舞台に選ぶ選手たちがいるが、「今回が最後の全日本」という裏方さんもいる。日本卓球協会の広報委員会の山下哲委員長だ。
山下はもともと池田銀行(現・池田泉州銀行)に勤めていた。卓球人ではないが、1996年アトランタ五輪代表に同銀行の小山ちれ選手が決まってから、銀行の広報の仕事をするようになった。そして、2001年の世界選手権大阪大会では広報副委員長を務めた。
「メディア対応として実質的に初めての仕事ですね。20年前のことですね。その後、日本リーグの広報をやったり、日本卓球協会では中井邦昭さんの下で、広報委員会の副委員長をやってきました。その後、中井さんから引き継ぐ形で広報委員長を12年間務めました。2007年に池田銀行の卓球部はなくなり、私は卓球人ではないのですが、恩返しをしたいと思い、日本卓球協会の広報委員会での仕事を続けていました」(山下)。
「副委員長になった当時は、メディアが扱ってくれる卓球の記事も小さかった」と語る山下だが、その後、2012年のロンドン五輪、2014年の世界選手権東京大会を経て、卓球は人気スポーツになっていく。「選手も頑張ってくれて、卓球の人気を高めてくれたことはうれしいですね」と誇らしい表情を見せた。
山下は全日本では朝一番に会場に入り、最後の試合が終わるまで会場にいる。「メディアを通して、一般の人たちに卓球をもっと知ってほしいですね」卓球界を支えてきた裏方さんは71歳になり、今年の3月で任期を終える。
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