スーパーシードの初戦となる男子シングルス4回戦で、まさかの敗戦を喫した宇田幸矢。男子シングルスでの全日本チャンピオンの初戦敗退は、1997年の平成9年度大会で前回優勝の岩崎清信(日産自動車・当時)が初戦で敗れて以来だ。
試合後にリモート会見に臨んだ宇田は、「いざ試合に入ってみて、本当に自分のプレーというのが何もできなくて、そのまま試合が進んでしまった。自分が思うようにできなかったなという感じです」と試合を振り返った。
「本当に試合前、練習もやってきましたし、自信を持って準備もしてきたので、勝つ自信はありました。でも全日本は1年に1回しかないので、久々のコートは緊張しますし、相手が高校生で思い切ってやってきたので、自分が食らいつけずに弱気になってしまった。前回優勝していて、今回も優勝を狙っていたんですけど、1試合目というのは試合慣れもしていない。結構注意して準備はしてきたんですけど、うまく試合で(自分の展開に)はめることができなかった。
チキータのミスだったり、フォアハンドのミスはメンタル面が弱気になっている部分がそのまま出ている。相手は逆回転のサービスがうまくて、レシーブミスがすごく多かったですし、レシーブからの展開、チキータからの展開も良くなかった。本当に思い切ってできなかったなと思います」(宇田)
試合前、明治大では出場選手の発熱が発覚。まだPCR検査の結果は出ていないが、濃厚接触の疑いがある3選手の棄権が発表された。精神面への影響について尋ねられた宇田は、「夜8時過ぎに発熱者の知らせを聞いて、ぼくも今朝まで出られるかわからない状態の中で準備をしていた。朝の9時半にホテル出発で、それまでに出場が可能かどうか教えてもらえるということでした」とコメント。出場にはゴーサインが出たが、同学年の戸上らの棄権が、メンタルに影響したことは想像に難くない。
「全日本には魔物がいる」とよく言われるが、今年の魔物は一匹ではない。大会を覆う異様な雰囲気の中で、選手たちは目の前の一戦一戦を全力で戦うしかない。
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