卓球王国 2022年1月21日 発売 vol.298
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全日本選手権2021

張本智和と御内健太郎、熱戦に見たふたりの底力

●男子シングルス6回戦
張本智和(木下グループ) 5、−12、7、−10、−6、12、8 御内健太郎(シチズン時計)

張本智和の全日本選手権は、あと1点で終わろうとしていた。カットの御内健太郎との対戦で、ゲームカウント2−3とリードを許し、迎えた6ゲーム目。8−4のリードから8−6、9−8となって御内のカットがエッジで入り、9−9。「張本危うし」の空気が濃厚に漂う。

御内のフォアストレートへの攻撃に苦しんだ張本

2本、3本と打ち込む連続攻撃で張本を追い詰めた御内

台上に浮いたカットをフォアに打ち抜き、10−9として吠えた張本。しかし、10−10に追いつかれ、御内のフォアドライブをブロックしたボールがネットにかかって10−11。中学1年で攻撃型からカットにモデルチェンジした、御内の攻撃のセンスは抜群だ。しかし、次の一本で御内のフォアサイドへドライブを連打し、辛くも11−11に戻した張本は、フォアストレートへのパワードライブを決めて14−12で御内を振り切る。

最終ゲームは張本が4−2、5−3、8−6と僅差でリードを保ち、9−8からフォアクロスへの3球目攻撃を決めて張本が10−8のマッチポイント。ここでサービスを持った御内は3球目攻撃を狙いにいったか。変化はあるがややあまくなった御内のサービスを張本が回り込んで狙い打ち、パワードライブが御内のフォアサイドを駆け抜けた。雌雄は喫した。

最後は張本がレシーブエース、御内はその場にしゃがみ込んだ

張本のカット打ちは経験不足。攻撃を深追いしすぎてイージーミスを連発する場面もあったが、「張本は最後の最後でミスが全然出なくなった」と試合後の御内。紙一重の勝利をつかんだ張本の底力はさすがだったが、御内にも勝機は十二分にあった。31歳とベテランの域に達しても、動きは全く落ちていない。御内健太郎、地元大阪での一世一代の大舞台で、改めてその底力を見せてくれた。ふたりの底力を見た一戦だった。

試合後のベンチで厳しい表情を見せた御内

★張本智和・試合後のコメント
「大会の初日にベスト8まで決まるので、乗り切れて良かった。カットは肩が大変だけど、肩がどうなってもよいからと思って思い切ってやりました。去年の準決勝、決勝よりも苦しい試合でした。
大会を棄権をする選手もいる中で、目の前の相手と全力で戦うことがぼくの大会への恩返しだと思う。それを体現できました。先月から腰を傷めていて不安はあった。理想的ではないけれど、3試合を戦えて不安は解消されました。

オリンピックの年の全日本は特別です。今日もすごく試合が多いし、オリンピックよりも大変な試合がある。(御内戦で)去年より良かったのはメンタル、それが勝ったポイントです。今年は自分が相手に向かっていく感じがする。マッチポイントを取られたけど、それまでと同じようにプレーすることを心がけました」(張本)