3年前に史上最年少で優勝した張本智和(木下グループ)が、仙台ジュニアクラブ時代にともに練習し、木下グループでもチームメイトである及川瑞基(木下グループ)に敗れた。
一般的に見れば波乱だろうが、チーム関係者からすれば「想定内」だったかもしれない。幼い頃からのチームメイトで、張本のボールには誰よりも慣れている及川。中学3年からドイツ・ブンデスリーガで経験を積み、ブンデスリーガ1部でも活躍した及川は、張本を倒すに十分な資格と経験を有する選手だった。以下は張本の試合後のコメント。
★張本智和・準々決勝後のコメント
「(1ゲーム目の0−0の)1本目がすごいラリーで、それを決められなくて、相手が勢いに乗った。ひとつ目のポイントはそこかなと思います。
昨日の影響は、カットマンとやると筋肉痛はもちろんありますし、今日が100%かというとそうではないけど、トーナメントを戦ううえではしかたがないこと。
昨日少し声出しすぎてしまったので、今日は気をつけようと思ったんですけど、あまり点を取ることもなく、声を出す機会もなかったです。結果はもちろん満足していない。昨日のフルゲームの試合に勝てたことが唯一の収穫です。
(及川は)普段から練習している選手なので、やりづらさはなかった。最初から最後まで落ち着いて戦うことができず、地に足がついていない状態だった。自分のボールに威力がないぶん、相手が良いボールを打ってきた。緊張感もあるし、昨日の疲労もある。総合的な面で相手のほうが手堅いプレーをしてきた。今日のプレーは、もしこの試合に勝てても優勝できるプレーではないと思う。シンプルに相手との1対1に勝てなかった。
今回は負けた悔しさより本当につかれたというほうが大きい。(今までに比べると敗戦後のショックが少ないように思いますが?)喜怒哀楽を現せるほど元気じゃないという感じがします」
森薗政崇、田中佑汰、吉田雅己、そして及川瑞基。優勝候補の大本命の張本が敗れたことで、男子シングルスは誰が優勝しても初優勝となる。「いつもと違う全日本」で、「今までと違うチャンピオン」が誕生することになる。
世界ランキング5位の張本と言えども、簡単に優勝できないのが全日本。同じく東京五輪の日本代表の丹羽孝希も準々決勝で姿を消した。日本代表クラスとそれを追う中堅選手たちのレベルに大差がないことを改めて示す大会となった。
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