卓球王国 2024年9月20日 発売
バックナンバー 定期購読のお申し込み
トピックス

アフリカの英雄アルナが猛抗議「ぼくが世界のトップ20にいる黒人であること、ナイジェリアから来たことが罪なことなのか」

アフリカのスーパースター、クアドリ・アルナ(ナイジェリア)がSNSで猛烈に抗議した。

「このような不公平は、まったく容認できない」「ぼくが世界のトップ20にいる黒人であること、アフリカ、ナイジェリアから来たということが罪なことなのか」

昨日発表されたITTF(国際卓球連盟)世界ランキングで、19位だったクアドリ・アルナ(ナイジェリア)が22位に落ちた。ランキングが落ちたことは珍しくはないのだが、問題はその内容だ。

世界ランキングは現在、過去1年間の大会成績で、上位8大会のポイントの合算で作られる。ところが、アルナは世界卓球・釜山大会を慢性的な下痢で体調を崩して欠場し、その後のWTTスマッシュを体調不良で、さらにWTTチャンピオンズ(韓国・仁川)をクラブ(ノイウルム)の試合と重なったために棄権していた。

この2大会の欠場に対して、WTT(ITTF傘下のツアー運営団体)は、アルナに対するペナルティとして「(8大会のうち)2大会が1年間ゼロポイント」として計算され、さらに規則通りに罰金を科すという。 

アルナは「なぜ私に給料を払っているクラブ(ノイウルム)の試合を棄権して、WTTチャンピオンズに参戦しなければならないのか。なぜ私の病気を考慮してくれなかったのか」と訴えたうえで、「このような不公平は、まったく容認できない」「ぼくが世界のトップ20にいる黒人であること、アフリカ、ナイジェリアから来たということが罪なことなのか」と人種差別に言及して抗議している。

 アルナが言うクラブの試合とはヨーロッパチャンピオンズリーグ(ECL)のことで、ECLの日程が決まっていたのに、WTTチャンピオンズが遅めに大会カレンダーに入ってきたことで、ECLに出る選手は混乱していた。

長年、世界で活躍し、ナイジェリア出身でありながら、スペインリーグやドイツ・ブンデスリーガで活躍しているアルナ。一方、母国ナイジェリアに卓球台などを寄付している

 

●アルナのSNSより
<WTTからのレター>
WTTシリーズおよびフィーダーシリーズハンドブックに記載されている通り、WTTチャンピオンズイベントへの参加は必須であり、キャンセルに対する罰則は4.1エントリー/撤退違反の各項目に従って適用されます。

同様に、ITTF世界ランキング規定により、今回のように個人的な理由によるWTTチャンピオンズへの自動エントリーのキャンセルは、ポイントゼロのペナルティが科せられ、それは1年間有効です。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

アルナ●賞金契約を結んでいないのに、なぜWTTチャンピオンズへの参加は必須なのでしょうか?なぜ給料を払ってくれているクラブを辞めてまで、WTTのイベントに参加しなければならないのですか? これは本当に強制なのでしょうか?

私には養わないといけない家族がいますし、毎月支払わなければいけない請求書もあります。

なぜ、賞金を稼ぐことができないであろう大会に強制的に出ないといけないのでしょうか?

WTTからはまだいくつかの賞金が支払われていないにもかかわらず、選手たちにプレーを強要しています。私はカップファイナル、ドーハのスターコンテンダー、ゴアのスターコンテンダー、そしてシンガポールの賞金さえもまだ受け取っていないのに、なぜクラブとの契約を反故(ほご)にしてまで韓国のWTTチャンピオンズに参加し、クラブとの契約を破らなければならないのでしょうか?
誰も私を黙らせることはできないし、これは完全に不正であり、許されることではありません。

アルナ●2カ月続けてのランキングのペナルティとひとつの金銭ペナルティが科せられました。

ひとつ目の罪は慢性的な下痢で体調を崩し、韓国で開催された世界卓球に出場できなかったこと。そして病床で医師の診断書が間に合わなかったことです。私の訴えは却下されました。なぜなら私は黒人であり、ナイジェリア出身のアフリカ人であるからです。

2つ目の罪は、私に給料を支払ってくれているクラブとの契約を優先し、韓国で開催されるWTT チャンピオンズに参加できなかったことです。私は韓国でのWTT チャンピオンズが始まる1カ月前にWTTにクラブとの契約があることは伝えていました。

アフリカのナイジェリア出身の黒人選手が世界のトップ20にとどまっていることが今の本当の罪なのでしょう。
このすべてのペナルティはWTTからのものです。このような不当な行為は到底認めることはできないのです。

関連する記事