徳島県鳴門市のアミノバリューホールで行われた全日本実業団選手権。新型コロナの影響で3年ぶりの開催になったが、男子はベスト8シードのうち新型コロナ関連のため協和キリン(東京)、リコー(東京)、日鉄物流ブレイザーズ(和歌山)、信号機材(神奈川)の4チームが棄権を余儀なくされ、日野キングフィシャーズ(東京)も大会途中で棄権するなど、「見えざる敵」に苦しめられた。日本リーグ上位チームに棄権が多くなったため、本命が数チームに絞られる波乱の展開になった。
そんな中、栄光を手にしたのは創部6年目の新興チーム、クローバー歯科カスピッズ(大阪)。今年1月の全日本選手権でベスト8入りし、アシア競技大会の予選を勝ち抜いて日本代表を手にした松下をエースに、愛工大卒の新人の宮本が大活躍。第2ステージ(決勝トーナメント)の3回戦で優勝候補のファースト(千葉)を激闘の末に下すと、準決勝では先週の前期日本リーグで優勝したシチズン時計(東京)に対して一歩も引かずに真っ向勝負で挑み、大激戦で勝利。決勝では勢いに乗るTOKYO GAS(東京)を寄せ付けず、初優勝を手にした。
単複全勝の松下(左)と宮本
キャプテンの江藤もガッツあるプレーでチームを牽引した
大躍進のTOKYO GAS。青山(右)と岩城のダブルス
●第2ステージ準々決勝
TOKYO GAS(東京) 3−1 鹿児島相互信用金庫(鹿児島)
NTT東日本(東京) 3−0 栃木銀行(栃木)
クローバー歯科カスピッズ(大阪) 3−1 日製日立(茨城)
シチズン時計(東京) 3−1 岡谷市役所(長野)
●準決勝
TOKYO GAS 3−0 NTT東日本
○青山 7、−8、6、9 佐藤
○石田 9、5、5 英
○青山・岩城 −7、7、5 佐藤・大槻
クローバー歯科カスピッズ 3−1 シチズン時計
○松下 7、6、9 酒井
江藤 12、−9、−4、7、−5 御内○
○松下・宮本 −6、9、9 上村・酒井
○宮本 −7、4、6、−11、8 上村
●決勝
クローバー歯科カスピッズ 3−0 TOKYO GAS
○松下 −7、5、4、3 青山
○江藤 4、9、11 南波
○松下・宮本 6、−4、5 青山・岩城
クローバー歯科カスピッズにとって勝負となったのはファースト戦。3番ダブルスを終えた時点で2−1とクローバー歯科カスピッズがリードしたが、同時に行われた4番と5番では、5番の工藤が大矢に敗れたため、4番の宮本と町の試合がチームの勝敗を決めることになった。
フルゲームまでもつれる接戦になり、宮本は5−9と町にリードを許す苦しい展開。しかし、宮本は慌てずに高い守備力とカウンターでジュースに追いつくと、そこから徹底してレシーブを町のフォア前に集めて強打を防いだ。ジュースになってから町がレシーブでネットインを2回見せるツキもあったが、冷静な宮本のメンタルは崩れず、最後はワールドレベルのストレートへのバックドライブで長い戦いにピリオドを打った。
宮本はシチズン時計戦でも4番で上村の猛攻をしのいでチームの勝利を決めるなど、松下とともに単複全勝で大会を終え、MVP的な活躍を見せた。
●第2ステージ3回戦
クローバー歯科カスピッズ 3−1 ファースト
江藤 2−3 松平○
○松下 3−2 神
○松下・宮本 2−0 松平・町
○宮本 3−2 町
工藤 0−3 大矢
クローバー歯科カスピッズ、姫野翼コーチの優勝コメント
「今年度中に団体戦でタイトルをひとつ取ることを目標にしていたので、それが達成できて素直にうれしい気持ちでいっぱいです。ファーストさん、シチズン時計さんなど厳しい試合が多かったのですが、ひとつひとつの勝負の中で自分たちが今持っている力を出して戦おうと言っていましたが、その結果が勝利につながったと思います。松下と宮本で3点取ることができ、あの2人が大車輪の活躍をしてくれたので、それが1番良かったと思います。
ファースト戦は、(誰と誰を当てる)オーダーうんぬんは考えずに、前半で松下が1点、ダブルスで1点、後半で宮本が1点という考えでした。1番でキャプテンの江藤があれだけの試合をしてくれたので、その後の選手がのびのびとプレーすることができたと思います。
宮本は1年目なので思い切ってやることが大切。彼の柔らかいプレーは、後半に置いた方が相手は嫌がると思って後半に起用しました」
創部6年目で日本一を手にしたクローバー歯科カスピッズ
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