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インタビュー

多くの卓球仲間に恵まれた、筋金入りのクラブプレーヤー・杉木浩行

●クラブプレーヤーの草分けとして、全国大会から地元のオープン大会まで、数多くの大会に出場してきた杉木浩行。卓球メーカーの社員からは、「オープン大会で一番優勝してるんじゃないの?」と言われることもあるという。今から16年ほど前、そんな杉木に卓球人生の危機が訪れた。

 

入院している時も病室にラケットを置いていた。

もう一度卓球がやりたかったんです

 

仕事中に2階の屋根、8mくらいの高さから落ちてしまったんです。3歳の頃から屋根に登ってますから、それまでは屋根から落ちたことなんて1回もなかった。12月の寒い日で、日陰になっているところに霜が溜まっていて、たまたまその上に乗ってしまった。

落ちたところが土だったのと、足から落ちたから助かりましたけど、まず足の骨が折れて、尻もちをついて腰椎を3本折ってしまった。それから頭を道路に打ちつけて血だらけでした。「腰椎がつぶれているから、立てるかどうかわからない。車椅子は覚悟してくれ」って言われたんだけど、神経がギリギリのところで傷まないでセーフだった。悪運が強いんですね。

半年間入院しましたけど、最初の2週間で卓球仲間がお見舞いに押しかけちゃって、病院から怒られましたね。入院している時も病室にラケットを置いて、みんなには笑われましたけど、もう一度卓球をやりたかったんです。リハビリに1年かかって、もう一度オープン大会で優勝するまでには2年くらいかかりましたね。

今はもう、卓球も仕事も普通にできています。仕事をしている時は、屋根という危険なところで作業しているわけだから、卓球のことは一切考えないですよ。

最近、瓦職人の数が減って、仕事が増えてるんです。特に3年前の台風(21号)で、あちこちの屋根に被害が出て、1カ月はかかる仕事が一気に100件くらい来てしまった。千葉あたりは、屋根を全部直すには10年はかかるでしょう。休みが1カ月に1日しかない日もありますけど、今はちょうどコロナで大会もないから、週末もずっと仕事です。

杉木が愛用するラケット。入院中の病室にもラケットを持ち込んでいた

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