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最後につかんだ栄冠! 張本智和、アジア選手権・男子単で日本勢50年ぶりV!!

カザフスタン・アスタナで行われていた第27回ITTFアジア卓球選手権は、10月13日に最終日を迎え、男子シングルス決勝で張本智和が林詩棟(中国)を3−1で破って優勝。1974年の第2回アジア選手権で優勝した長谷川信彦(2連覇)以来、実に50年ぶりとなるアジア選手権のタイトルを日本にもたらした。
大会最終日の男子シングルス・ダブルスの試合結果は下記のとおり。

〈男子シングルス〉●準決勝
張本智和 4、3、−10、9 呉晙誠(韓国)
林詩棟(中国) 10、16、2 篠塚大登
●決勝 張本智和 9、6、−4、5 林詩棟

〈男子ダブルス〉●決勝
林鐘勲/安宰賢(韓国) 6、6、6 パン・イエウエン/クエク・アイザーク(シンガポール)

まず男子シングルス準決勝で、第1シードの王楚欽(中国)を破った呉晙誠を破った張本。呉晙誠のベンチに入ったのは、2005年世界卓球3位の父・呉尚垠。フォアミドルへのボールに対するコンパクトなフォアドライブ、フォア前へのストップの入り方など、呉晙誠のプレーは父にそっくりで、汗の拭い方までよく似ていた。

互いにバックハンドが強い張本と呉晙誠。試合はバック対バックの激しいラリー戦となったが、打球点の早さとミドルを交えた厳しいコース取りでまさる張本が、1ゲーム目に6−0、2ゲーム目に4−0とスタートダッシュをかけて2ゲームを連取。3ゲーム目は落としたものの、4ゲーム目は1−3から7点連取で8−3と一気に逆転し、10−9の2回目のマッチポイントで回り込んでのパワードライブを決め、決着をつけた。

プレーが父・呉尚垠にソックリな呉晙誠。王楚欽を破る金星を挙げるも、張本の壁は敗れず(PHOTO:ATTU)

男子シングルス準決勝のもうひと試合は、篠塚が林詩棟とこちらも激しい打撃戦。1ゲーム目を先取された2ゲーム目、2−6のビハインドから9−9まで追いついた篠塚。10−9と先にゲームポイントを握るも、10−10となってからはジュースの応酬になった。篠塚も3回のゲームポイントを握ったが実らず、最後は篠塚の勝負をかけたフォア強打が惜しくもミスとなって16−18。3ゲーム目は、林詩棟に中盤で一気に突き放された。

林詩棟と打撃戦を繰り広げた篠塚。堂々の3位入賞(PHOTO:ATTU)

そして迎えた大会のフィナーレ、張本と林詩棟の決勝。1ゲーム目、台からやや距離を取る林詩棟の威力あるバックドライブに押され、1−5、2−6とリードを許した張本。「バック対バックでは分が悪いか」と思われたが、張本は一歩も引かずにバックで打ち合い、フォアに回されたボールを果敢に狙い打つ。

1ゲーム目、8−8で追いつくと10−9とゲームポイントを握り、ここでブツッと切ったロングサービスを林詩棟のバックへ。林詩棟のストレートへのバックドライブを、飛びついてサイドを切るフォアカウンターを決め、高らかに吠える。

1ゲーム目を先取したことが精神的な余裕を生んだか、2ゲーム目以降はバック対バックでもサイドを切るボールとミドルへのコース変更で林詩棟を揺さぶり、チャンスを作って強打を決める。2ゲーム目、9−5から9−6となったところで早めのタイムアウトで勝負をかけ、11−6で張本が連取。勝利に王手をかけた。

バックの強い林詩棟に対し、自らのストロングポイントであるバック対バックで「横綱相撲」を見せた張本(PHOTO:ATTU)

3ゲーム目は林詩棟の開き直ったような両ハンドドライブが次々に決まり、中盤で1−7と離されて4−11で落とした張本だが、4ゲーム目は体力と気力を振り絞り、林詩棟を仕留めにかかる。3−3からストレートへの快速バックハンドやサービスエースで7−3と突き放し、9−5。

張本の気迫のプレーに押された林詩棟(PHOTO:ATTU)

ここで林詩棟の3球目回り込みパワードライブを、張本が鮮やかにストレートへブロック。この1本で勝負あった。最後もバック対バックで、林詩棟をねじ伏せるように得点した張本。「腕組み」パフォーマンスを見せた後、会場の大歓声を浴びるように両手を広げた。

優勝を決め、笑顔で「腕組み」パフォーマンスを見せる張本(PHOTO:ATTU)

そして歓喜の表情でベンチへとダッシュ!(PHOTO:ATTU)

今大会、ともに悔しい思いも味わったベンチの田㔟邦史監督と熱い抱擁を交わした(PHOTO:ATTU)

男子団体5〜6位決定戦の香港戦ではまさかの2失点を喫するなど、苦しみに苦しんだ今大会。勇気あるプレーで、最後の最後に大輪の花を咲かせた!

男子シングルス表彰、張本智和(中央)が日本勢として50年ぶりにアジアの頂点に立った(PHOTO:ATTU)

男子シングルスでふたりが入賞した日本勢。男子団体の悔しさを晴らす活躍だった(PHOTO:ATTU)

男子ダブルスを制したのは林鐘勲/安宰賢(韓国)。韓国に今大会唯一のタイトルをもたらす(PHOTO:ATTU)

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