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世界卓球2026

アジア選手権の再現を狙う日本女子。「切り札」橋本帆乃香の起用はあるか?

2014年の東京大会から前回の24年釜山大会まで、世界卓球団体戦では5大会連続準優勝の日本女子チーム。決勝の対戦相手はすべて中国だ。前回の釜山大会決勝では、早田ひなが陳夢(チェン・ムン)、平野美宇が王芸迪(ワン・イーディ)を破って中国から2−1とリードを奪い、あと一歩まで肉薄した。そして24年10月のアジア選手権では、女子団体決勝でついに中国を3−1で撃破。張本美和が王芸迪と孫穎莎(スン・インシャ)を連破する大活躍で、この歴史的快挙の立役者となった。

前回の釜山大会決勝で、五輪女王の陳夢を破った早田ひな

2024年アジア選手権、女子団体決勝で中国から2点を奪った張本美和。その再現なるか?

今大会の日本女子チームのメンバーは、世界ランキング5位の張本美和(木下グループ)、10位の早田ひな(日本生命)、15位の橋本帆乃香(デンソー)、16位の長﨑美柚(木下グループ)、そして選考会を勝ち抜いた122位の面手凛(日本生命)。世界ランキング12位の大藤沙月や13位の伊藤美誠、前回代表の平野(美宇)らが代表を外れ、日本女子の層の厚さを感じさせるメンバー構成となった。5月2日からのステージ1Aで、ドイツ、フランス、イングランドと対戦する日本女子チーム。タイムテーブルは下記のとおりだ。

●5月2日
10:00〜(日本時間18:00〜) vs.イングランド
17:00〜(日本時間3日1:00〜) vs.フランス
●5月3日
12:30〜(日本時間20:30〜) vs.ドイツ

初戦は地元・イングランド。右ペン表のエース、ホ・ティンティンはロンドン生まれのロンドン育ち。地元の観客からの声援を集めそうだが、さすがにチーム同士の戦力差が大きい。
連合王国であるイギリスは、イングランド、ウェールズ、スコットランド、北アイルランドの4つの国からなり、イングランド、ウェールズ、スコットランドの3カ国の協会がITTF(国際卓球連盟)に加盟している。お隣のウェールズにはアンナ・ハーシーという世界ランキング34位の新星がいるのだが、ロンドン大会にはウェールズ代表として出場している。

第2戦のフランスは前回大会で3位に躍進。抜群の身体能力を誇る左腕パヴァデと、右シェークフォア表のユエン・ジアナンが2枚看板だが、日本女子がベストメンバーで臨めば、それほど怖い相手ではないだろう。

そして第3戦。今大会で数少ない、日本女子が注意すべき相手と言えるのがドイツだ。バック面をアンチスピンラバーに変えて世界ランキングを自己最高位の9位まで上げたヴィンター、そして両足ともアキレス腱を切る重傷を負いながら復活し、今年1月のWTTチャンピオンズドーハで王曼昱(中国)を破ったハン・イン。不死鳥のごとく甦ったドイツ女子のツインエースは強力だ。

WTTのシングルスでの戦いならば、異質やカットに強い日本女子チームにとって、ヴィンターやハン・インはそこまで怖さはないかもしれない。しかし世界卓球の大舞台、しかも団体戦特有のプレッシャーの中で、変化と攻撃力を備えた両選手との戦いは十分に注意したい。このステージ1Aで万が一、2位以下になった場合、第2シードの座を確保できずに中国と準決勝などで当たる可能性がある。グループ2で1位になるため、ドイツ戦は必勝の戦いとなる。

パワーと変化の二重奏。ヴィンターはロンドンでも旋風を巻き起こすか(写真:レミー・グロス)

不屈のチョッパー、ハン・インの団体戦での強さは侮れない(写真:レミー・グロス)

決勝トーナメントに進めば、1・2回戦は実力差のあるチームとの戦いになりそうだが、ドローでどこに入るか気になるのが北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)だ。国際大会にほとんど出場しないため、チームランキングこそ47位と低いが、2024年アジア選手権で張本美和を破って優勝した左シェーク・バック粒高のキム・クムヨンと、24年パリ五輪ベスト8のピョン・ソンギョンという実力のある選手を揃える。このふたりにチャ・スヨンを加えた3人のみのエントリーだが、この北朝鮮がどこに入るかが、決勝トーナメントのドローの最大の焦点だ。

左シェーク・バック粒高のキム・クムヨン。国際大会に出ていれば、世界ランキングでトップ10に入る選手だ

日本が6大会連続の決勝進出を果たし、中国と対戦するとすれば、勝負のポイントはオーダー。中国は3番手に成長してきた左腕・蒯曼がカットを苦手としており、25年世界卓球2位の王曼昱もカットにはわずかな不安がある。日本女子に橋本帆乃香というカットの「切り札」がいる今大会、橋本の対中国戦の起用はあるか、そして中国は日本のオーダーをどう読むか。非常に興味のあるところだ。

中国は世界卓球2連覇の孫穎莎という絶対女王がいるが、孫穎莎に2点取られても日本に勝機はある。日本女子が優勝を果たせば、あの「ピンポン外交」の1971年名古屋大会以来、55年ぶりの快挙。初めて団体戦の指揮を執る、中澤鋭監督の手腕にも注目したい。

世界卓球の団体戦で、初めてチームの指揮を執る中澤鋭監督。その手腕に期待だ

中国の「絶対女王」孫穎莎が日本の前に立ちはだかる(写真:レミー・グロス)

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