卓球王国 グッズWEB 2023年 5月17日発売
バックナンバー 定期購読のお申し込み
グッズweb

二つの顔を持つモンスターラバーの登場。謎めく「ジキル&ハイド」

狂乱と制御。

殺人者と紳士。

モンスターと知性。

このラバーにあなたは何を見るのか

 

ラバーのキャッチコピーは「狂乱と制御」。

実に興味深い。怪物級の回転と、知的なまでのコントロール。

ラバーの二面性に触れ、ジキル博士とハイドという、もはや若い人も知らない名前を出し、煙に巻こうとしているのか。回転とコントロールの両立という何十年前から卓球業界で商品説明で使われてきたフレーズを、二重人格者の名前でたとえ、商品名にしてしまうとは……。そういう非常識な手法をXIOMというブランドはマーケティングとして使う。

卓球業界の異端児、フィリップ・キム(XIOM CEO)はかつてこう言った。

「ドイツラバーという同じ学校に我々はいる。同じドイツ人で共通言語で話をしていても、優秀な子どもとそうでない子どももいる。我々は天才的な成功者でありたい」

今回、新ラバーを説明する資料で、いきなりニュートンの運動方程式、F=MA(慣性力=質量×加速度)を持ち出してきた。商品名だけでなく、「資料もおおげさだろ」と思いながら、「まさかニュートンも卓球ラバーの説明で自分の方程式が引用されるとは思わなかっただろうな」と笑いがこみあげてくる。

 

別冊『卓球グッズ2022』で、11ブランドの今シーズンに懸けるNEWアイテムを徹底分析&試打を行っている。

ラバーではすでに爆発的に売れているVICTASの『V>20』は試打でも高評価。同メーカーの商品としては久々のメガヒットになる予感がする。ティバーの『ハイブリッドK3』は使う人を選ぶ微粘着のラバー。

何とも不気味なのは、XIOMの新ラバー、名前は『ジキル&ハイド』。「ジキル」と「ハイド」。原題は『ジキル博士とハイド氏の奇妙な事件』で、130年以上前のイギリスの怪奇小説だ。
二重人格を題材にした小説で、解離性同一性障害の代名詞として「ジキルとハイド」と使われることがある。善良な紳士、ジキル博士と、ジキルから変身し殺人者となるハイド。
「ジキル&ハイド」として善悪を繰り返す二重生活。その人名をラバーのネーミングにしてしまうXIOM。こんな突拍子もない名前をつけるのがフィリップ・キムであり、自らパッケージまでデザインした。『ヴェガ』というヒット作を作り、ラケット名に『アイスクリーム』などと名付けてみたり、常に洗練されたデザインを見せる卓球ブランド。

すでに発売されているのが『ジキル&ハイド V47.5』『ジキル&ハイド H52.5』の2種類。

『ジキル&ハイド V47.5』は中上級者のための回転・スピード・コントロールのバランスにすぐれたラバー。大ヒット作の『ヴェガ』の上位機種のような立ち位置だろう。

一方、『ジキル&ハイド H52.5』は粒が低いジオメトリーに、シートレイヤーがやや厚めのシートに硬度52.5のスポンジを組み合わせ、バタフライの『ディグニクス09C』を意識したラバーと言える。通常のテンション感覚(Tタッチ)と、中国ラバーの回転性能と中国タッチ(Cタッチ)の中間がハイブリッド感覚(Hタッチ)で、この『ジキル&ハイド H52.5』はXIOM初のHタッチのラバーとして登場した。

フィリップ・キムCEOはこう語る。

「この2種類の性格の異なるラバーをして『ジキル&ハイド』と言っているわけではない。荒々しいまでの回転力と、知的さを示すコントロール性能をパッケージにしたものが『ジキル&ハイド』のコンセプトだ。この矛盾したふたつの個性をひとつに融合した、いわゆる「2in 1」が、ジキルとハイドというラバーだ」

CEO(社長)であり、マーケティングにすぐれ、デザインにもこだわる。一見、紳士のように見えて荒々しいフィリップ・キム自身が「ジキル」と「ハイド」のような二面性を持っている。11月にはさらに4機種が卓球市場に投入される。1年で6種類は多すぎなのでは?と問えば、「従来、卓球メーカーは1年に1機種とか出していく。ユーザーはそれを求めていない。そういった業界の慣習に追従していく気はない。新たなパラダイムシフト(規範の転換)を目指している」と答えた。

フィリップ・キムは天才なのか、破壊者なのか。

詳しくは別冊『卓球グッズ2022』で。

 

エクシオン
ジキル&ハイド H52.5
¥7,150(税込)

●厚さ:MAX・2.1mm
●色:黒・赤
●スポンジ硬度:52.5度
●微粘着テンション裏ソフトラバー

 

エクシオン
ジキル&ハイド V47.5
¥7,150(税込)

●厚さ:2.1・1.9・1.7mm
●色:黒・赤
●スポンジ硬度:47.5度
●スピン系テンション裏ソフトラバー

 

 

5月17日発売 別冊『卓球グッズ2022』

全国書店と卓球ショップで発売!