2015年にスタートし、今年で8回目を迎える『別冊卓球グッズ』の名物企画「こだわりすぎた男たち」。担当する編集部タローにとって、これほど作るのが楽しいページもない。スタートした頃は「ラケットの取材で恐縮ですが……」といつも言っていたが、最近では喜んで取材を受けてくださる方も増えてきた。
今年は大阪での「弾丸取材」で、3人の方を取材させてもらった。
まず大阪・今里の関西卓球道場で池田章子さんを取材。昨年、マスターズで「V20」の金字塔を打ち立てた女王が、女子選手として初の登場だ。……本来ならタイトルも変えるべきなのだが、今回はスペシャル枠ということで「こだわりすぎた男たち +1」とさせてもらった。池田さんのラケットはブレードの板厚8mm、グリップ周りは板厚6mmの「段差グリップ」で、繊細なフィーリングを感じ取れる1本だ。
次に奈良・生駒に移動して、こちらもマスターズ優勝8回の名選手、勝英雄さんを取材。「ラケットのことならなんぼでも語れる」という勝さん、そのこだわりは半端ではない。『バーミンガム77』の初期モデルに合わせるのは、『オリジナル(表ソフト)』の特注スポンジ。驚異の「修復術」やラバーの「熟成」など、用具好きならニヤリとする内容だ。
そして生駒から一度難波(なんば)に戻り、今度は南下して河内長野へ。大阪・興国高で腕を磨き、近畿選手権の年代別でも優勝している石本佳功さんを取材した。持ったとたんにすっぽ抜けるのではないかと感じる、「極細・極薄」のシェークラケットのグリップに、ペンホルダーから転向した強打者・石本さんならではのこだわりを感じた。
大阪ではペン表がふたり、シェークドライブ型がひとり。最後にもうひとり、久々にカット型に登場してもらいたいと思い、弊誌のカット用具試打でも協力していただいた金央也さんの紹介で、小林宏彰さんを取材した。神奈川・六角橋中で卓球を始め、全中団体ベスト8のメンバーとなった小林さん。両面『タキネスチョップ』の極薄から、今は異端の両面『ディグニクス64』。用具調整による「セルフコントロール」には思わず唸った。
取材を重ねてつくづく思うのは、用具はプレーヤーを映す鏡だということ。こだわりとともに使い込んだラケットは、性格や個性がプレーヤーによく似てくる気がする。「用具へのこだわりなら負けない」というアナタ、来年ぜひ取材させてください(柳澤)。
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