昨年の9月と少し前になるが、3名のパーキンソン病患者がイギリスへ渡航。現地でのイベントや卓球大会に参加し、現地のひとたちと交流を深めた。川合寛道さん、蟹江真由美さんとともに初の海外遠征を果たした小原理史さんの手記をここに紹介する。
【若年性パーキンソン病患者によるイギリス遠征の記録と記憶】※手記より一部抜粋
9月1日から11日にかけて、パーキンソン病の患者当事者の日本人3名でイギリスに行ってきました。パーキンソン・ピンポンジャパンの一員として、「グレイトブリテン・ササカワ財団の助成を受けて、マンチェスターで開催された「JAPAN WEEK」という日本と国際社会との文化やスポーツの交流を目指すイベントに参加させていただき、また、同じくマンチェスターで開催された「ParkySmash!」というパーキンソン卓球の大会にも出場させていただきました。
「JAPAN WEEK」のイベントの中で、同大会の宣伝をし、短いスピーチをさせていただきました。スピーチはステージイベントの最後の時間で、私たちの前には、歌唱、創作ダンス、民謡にあわせた舞踊、刀剣の演武など、圧巻のステージパフォーマンスが披露されました。私は緊張とPD(Parkinson Diseaseの略/*パーキンソン病のことを当事者のあいだではこの略称で呼ぶことが多い)症状で、震えがとまりませんでしたが、イベントの司会者・レイチェルさんの素晴らしい通訳のおかげで、「私たちは刀ではなく、ラケットで、明日激しく打ち合います!」と渾身のジャパニーズジョークも披露することができました(笑)。

イベント「JAPAN WEEK」に参加の3人。(左から蟹江さん、筆者の小原さん、川合さん)
翌日の大会「ParkySmash!」はイギリスのパーキンソン卓球協会の方々、マンチェスターやリーズにあるパーキンソン卓球団体の方々、審判やボランティアとして運営やお手伝いをしてくださった方々、出場選手(全員パーキンソン病患者)のみなさま、そして近くで支えてくださったご家族・ご友人、見に来てくださった方々のおかげで、あたたかい雰囲気のなかで熱戦が繰り広げられ、素晴らしい体験をすることができました。
戦績としては、日本チームは金メダル2つ(同行の蟹江さんは女子シングルス優勝、同じく川合さんはダブルス優勝)と、銀メダル1つ(私の男子シングルス準優勝)を持ち帰ることもできました。2025年2月に東京・高円寺のバタフライ道場に来てくださったロブさん、ジョージさん、ケリーさん、ジェニンさん、ハリーさん、ペギーさん、サムさんに、再びお会いすることもできました。

大会の様子(手前が小原氏)

表彰の様子

この他にも、ハリーさんの卓球クラブで老若男女、幅広い英国紳士淑女と練習をさせていただいたり、パーキンソン卓球のクラブでは「ParkyPING!」というイベントを開催していただき、卓球のラケットやボールをつかった様々なアトラクションを楽しんだりしました。これはパーキンソン卓球の新しい楽しみ方であり、卓球そのものとは別の刺激となって、人によってはすごいリハビリ効果があるのではないか、と予感させるレクリエーションでした。帰国のフライト前日も夜19時半から23時を過ぎるまで、ひたすら時間も場所も忘れて、夢中になって、卓球に興じていたのも、大変良い思い出です。
今回の旅は私にとって初めての海外遠征の経験で、それは決して簡単な旅ではありませんでした。私が受け取った銀メダルには「すべてのパーキンソン病患者のたどった道のりに」とあります。私たち一人ひとりには、経てきた歴史があり、それぞれの旅があります。これまでの生活の延長に、今回の旅があり、実はそうと気づくより以前から旅はもう始まっていたのかもしれません。私は中学で卓球を始め、高校で症状が出始め、大学を卒業してから診断がおりました。ここまで私を連れてきてくれた、卓球、それとパーキンソン病にも「ありがとう、これからも仲良くやっていこうね」と今は言いたい気持ちです。(小原理史)

メダルには「すべてのパーキンソン病患者のたどった道のりに」と記されている
パーキンソン病友の会HP↓
https://jpda.jp/
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