<卓球王国2023年3月号より>
それは2022年9月、Tリーグの男子開幕戦で味わった衝撃だった。松平健太(T・T彩たま)が繰り出す、フォアのカウンタードライブの威力と切れ味に思わず息を呑んだ。
「フォアのカウンター、走ってるなあ!」
決して「後出し」の感想ではない。カメラを手にコートサイドのフェンス際に身を潜め、肌で味わったスピード感だ。
この時、松平がフォア面に使用していたラバーが22年12月に『ハイブリッド MK』(以下:『MK』)として発売。言わずもがな、『MK』は彼のイニシャルだ。
ティバーのG・C・フォースター氏によれば、松平が新ラバーに望んだ性能は「比較的軟らかめのスポンジ硬度でありながら、ボールをしっかりつかむグリップ力と高いスピード性能を備えていること」。軟らかめのスポンジ硬度のラバーを好む松平の要望を反映させながら開発を続け、完成に至った。
実際に打ってみると、まず耳をとらえるのは打球の体感スピードを高める「キンキン」の打球音。しかも、ひと昔前は軟らかいラバーは「食い込むだけで回転がかからない」イメージがあったが、『MK』はしっかり回転がかかり、切れたツッツキも苦にしない。
そして、性能が最も生きるのは上回転のラリーだ。松平自身も「カウンタードライブが一番凄い。ボールをキャッチして飛んでいくし、唸るような打球が出る」とコメント。一撃のカウンターの破壊力を備えながら、ミドルを突かれてショートスイングで返す時でも、確実に相手コートにボールを運ぶ。
Tリーグではシングルス10勝6敗の好成績で、勝利数ランキング3位につける松平(1月9日現在)。ティバーとの契約後、その成績は落ちるどころか、上昇曲線に転じつつある。
「このラバーの性能がどれほどのものか、ぜひ一度使ってみてください」(松平)。再び輝きを放つ天才・ケンタのプレーを見たら、試さずにはいられない一枚だろう。
●テンション系裏ソフトラバー
●¥7,590(税込)●厚さ:MAX・2.0㎜
●ティバージャパン
photo >> Yoshinori Eto
text >> Taro Yanagisawa
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