<卓球王国2024年7月号より>
以前はスウェーデン製の木材ブレードのイメージが強かったヤサカ。しかし近年は『リーンフォース』『リゾネイト』と、特殊素材系のシリーズを精力的にリリースしている。トップ選手の多くが特殊素材ラケットを使用しており、そうした近年のトレンドを受けての商品開発だろう。
昨春(2023年春)発売された『リゾネイト』シリーズは、カーボン系素材を使用した上級者・トップ選手仕様だったのに対し、今春、3種類が同時発売となった『エクスファイバー』シリーズは、より幅広い層が使いやすいタイプと言えそうだ。
『エクスファイバー』シリーズの最大の特徴は「非カーボン」。主流の特殊素材モデルの多くは、カーボン単体もしくはカーボンと他の繊維をかけ合わせた繊維を使用しているが、今シリーズではあえてカーボン以外で勝負した。「木材ラケットより弾み、カーボンラケットに比べてボールをつかみやすい」というのがコンセプトだ。
中でも特徴的なのが『エクスファイバーUP』。「超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)ファイバー」をインナーに配置し、板厚は6.5㎜とやや厚めの設計にすることで、反発力と球持ちの良さのバランスを取った。
編集部で試打したところ、まずはグリップがかなり細身なのが特徴的だった。重心は先端寄りだが、深く握れるので操作性は高い。
そして特殊素材の感触は少なく、打球感や弾みは木材モデルに近い。想像以上に球持ちが良く、軽打やループドライブなどでは弧線が生まれ、高性能ラバーでも安心して使いこなせる。
一方で、強打ではやや直線的な弾道に。特殊素材モデルとしては弾みは控えめなので、ループドライブからフラット気味の強打で得点を狙うスタイルにも向きそうだ。
インナーモデル率が高いヤサカ。この『エクスファイバーUP』も、「ボールをつかむ感覚」を重視する、ヤサカらしい基本コンセプトが感じられる。
王道の用具を提供し続けるヤサカが、王道の性能から逸脱(いつだつ)しない範囲で、合板構成と使用感にオリジナリティを加えた1本だ。
●攻撃用ラケット ●¥13,200(税込)
●木材5枚+UHMWPEファイバー2枚
●グリップ:FL ●ブレードサイズ:157×150㎜
●板厚:6.5㎜ ●平均重量:87g
●㈱ヤサカ 03・3634・5158
https://www.yasakajp.com/
photo >> Yoshinori Eto
text >> Hiromoto Takabe
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