<卓球王国2022年3月号より>
昨年(2021年)春にブランドの統合が行われ、TSPブランドが終了となったVICTAS。TSPブランドのいくつかの人気商品は、VICTASブランドでリニューアルされたが、その陰でひっそりと姿を消したのがラージボールの用具だ。「ラージは見捨てたのか?」と感じたラージ愛好家もいたかもしれない。
しかし、そうではなかった。「ラージもVICTASはちゃんとやりますよ。開発期間をじっくり取って、水面下でラージ用具の研究を続けていたんです」と語るのはVICTASの仲村錦治郎さん。その言葉どおり、昨年(2021年)12月にラージ用ラバーの『Vラージ』シリーズ3枚と、ラージ用ラケット4本を同時に発売した。
今回紹介する『Vラージ L3』(以下:『L3』)は日本製で、ひと言で言えば「やや回転寄りの、総合性能の高いラージ用ラバー」だ。
これまでVICTASで唯一のラージ用ラバーだった『VLB>301』は非常によく弾み、「超」がつくほどスピード重視。逆にTSPからリリースしていた『スピンマジック』(廃番)は、その名のとおり回転重視。ともにエッジが効いた性能で、好みの分かれるラバーだった。
そこで今回の『Vラージ』シリーズは総合性能を重視。『L1』はテンションをかけず、カットマンやビギナーが使いやすいタイプだが、『L2』と『L3』はテンションのバランスタイプ。『L2』は「6:4」でスピード重視、『L3』は「6:4」でスピン重視の性能に仕上げたという。『L3』の開発に当たって、どうしても目線が「硬式寄り」になり、打球感をつかむのが難しいと感じた仲村さんは、全国のラージの上級プレーヤーに試打を依頼。その感想を開発に生かした。
「『L3』は使いやすくて反発力がある点が高評価でした。硬式からラージに移行した人にも使いやすく、上級レベルから幅広く使えると思います」(仲村さん)
いくつかのラージ用ラバーと打ち比べてみたが、『L3』は強烈な個性こそないものの、回転をかける感覚がつかみやすい。中・後陣でのドライブの引き合いではボールが伸びていくし、対ツッツキのドライブも打ちやすい。個人的にはもう少し弾きの強さがあってもいいと感じるが、プレー領域を選ばない安定性は抜群だ。
ラージ愛好家の期待を裏切らないこの一枚。VICTASのラージへの「本気度」、感じてみてはいかが?
●ラージボール用表ソフトラバー
●¥6,380(税込)
●厚さ:MAX・2.0㎜
●㈱VICTAS
03・6219・1700
photo >> Yoshinori Eto
text >> Taro Yanagisawa
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